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 日本中が熱狂した1970年の大阪万博から約半世紀。日本政府は2025年万博で、再び大阪に誘致している。掲げるテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。その柱が、国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成を促すことだ。開催地はパリで23日(現地時間)に決まる。キャスターの国谷裕子さんに、万博でSDGsに取り組むことの意義や期待を聞いた。

 「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマのもとで、世界中の最新技術を持ち寄り、SDGsの達成に向けて解決策を考えて、人々に新しい行動を促す万博。そういう方向性を持つ万博になれば、とても意義深いと思います。

 これまでの技術の進歩は豊かさとともに温暖化や気候変動を引き起こし、地球のメカニズムを壊してきました。途上国や島国の人たちの生活環境に悪影響をもたらして、飢餓や貧困の増大にもつながっています。

 万博は世界約170カ国が結んだ「国際博覧会条約」に基づいて開催され、その条約で「公衆の教育を主たる目的とする催し」と定められています。ですから、一部の国や人たちにとっては目をつぶっていたい事実だとしても、地球が置かれている状況を多角的に考える場になればと思います。

 そのために、これまでのような国ごとのパビリオンではなく、SDGsの目標ごとにパビリオンをつくってみてはどうでしょうか。

 国連の全加盟国が2015年に合意したSDGsは30年までの達成を目指し、「飢餓」「すべての人々の健康」「気候変動」「貧困」「エネルギー」「住み続けられる都市」など17の目標が並びます。この目標は、先進国や途上国を問わず共通の課題です。その目標ごとに、世界中の国々が一緒になって17のパビリオンをつくるのです。

 例えば、世界規模でみれば増え続けていく人口問題に備えて、さらなる食糧生産が必要です。でも、これまでのように森林を切り開いて農地を広げるやり方では、大気中の二酸化炭素(CO2)を増やして温暖化を進めてしまいます。食糧と気候変動の問題はつながっています。パビリオンをめぐりながら、絡み合った難題の構図を理解して解決策を考えられたらいいですよね。

 今月23日に25年万博の大阪開催が決まれば、あと7年あります。準備の段階から、世界中の国々の政府や企業、NPO、NGO、学生たちがSDGsの課題を一緒に考えながら、最新のテクノロジーを生かしてパビリオンをつくりあげていく。その準備期間中に私たちの万博への参加意欲も高まっていけば、と思います。

 開催に向けた7年間でSDGsへの理解が深まり、人々が行動を起こして社会変革に向けて動き出した。そんなレガシー(遺産)が残る万博になるよう願っています。

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 大阪市出身。NHK「クローズアップ現代」の元キャスター。2017年から朝日新聞のSDGsキャンペーンのナビゲーターを務め、課題解決に向けた各地の取り組みも取材する。