高知県のローカルネタで勝負するユーチューバーの「ちゃがまらん」=加藤秀彬撮影、ちゃがまらん提供
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 いまは月収10万円のユーチューバー。でもいつかは、人気絶頂のHIKAKIN(ヒカキン)超えだ。高知県の若手5人組「ちゃがまらん」は、きょうもローカルネタで勝負する。

 小学校の25メートルプールにウミガメが泳ぐ。校舎内にある水槽にはブリやサメなど70種類を超える魚たち。ここは全国でも珍しい廃校舎を活用した「むろと廃校水族館」(同県室戸市)だ。

 今春開館した県内屈指の人気スポットに怪しげな若者たちが現れた。「ちゃがまらん」だ。1人がエイの泳ぐプールに目を付けた。遊泳は当然禁止だが……。

 「プールに入れたりしないですか。水着を準備してきたんですけど」

 職員と交渉し始めた。最初は断られたが、水族館側からプール内を掃除する仕事を与えられ、ついに水の中へ。「本当に入れちゃったよ」

 この動画は7月、「むろと廃校水族館に行ってみた」として動画サイト「ユーチューブ」に投稿された。11月下旬までの約4カ月で約37万回再生された。「ちゃがまらん」の再生ランキングで1位を走る。

 わざと落とし物をしたら高知県民はどんなものなら拾ってくれるのか。試してみた動画では、財布、帽子、芋けんぴ、バラバラに落としたあめ玉166個などを拾ってくれた。

 よさこい祭りで「高知で1番の美女」にビンタされ、「高知のUSJ?アクトランドに潜入してみた」などと娯楽系の企画のほか、南海トラフ地震が想定される高知県で防災意識を問う動画など、ご当地ネタを発信し続けている。

 「ちゃがまらん」は高知工科大を卒業した5人。土佐弁の「ちゃがまる(だめになる)」に否定の意味を加えた造語だ。

 きっかけは、熊本県出身のちゅんさん(23)が2015年に参加した過疎地域の活性化を考える授業だ。

 高知県大豊町には65歳以上の高齢者が半分以上を占める限界集落がある。移住者を呼び込もうとする地元NPOの取り組みに加わった。その際、町民から「どうすれば県外から人が来てくれるか」と相談された。

 「おじいちゃんやおばあちゃんが県外出身の自分らの意見に真剣に耳を傾けてくれる」。そんな姿に感動し、できることを考えた。

 結論が「ユーチューブ」だ。「やるなら高知県をPRしよう」。ちゅんさんが大学の同級生4人に声をかけ、「ちゃがまらん」が翌年11月に結成された。

坂本龍馬・広末涼子さんに続け

 メンバー5人のうち3人は今春に就職し、そのうち2人は県外に出た。就職した3人は側面支援する。5人の結束はグループ名通り、いまも「ちゃがまらん」。

 定職に就かず高知に残ったちゅんさんとひとしさん(22)が活動の中心だ。動画編集は1本につき5時間以上かかる。毎日投稿を続けるため、「ユーチューバー」専業になった。

 駆け出しの現実は厳しい。「ちゃがまらん」としての月収は計約10万円。主な収入源は「ユーチューブ」への投稿動画に付く広告料の一部に加え、月に数回依頼されるレジャー施設からのPR動画の作成を請け負う。同県須崎市のゆるキャラ・しんじょう君のPR動画も制作している。あとはアルバイトや食事を1日1食にしてしのぐ。

 チャンネル登録者数は11月中旬で約8500人。トップクラスのヒカキンのチャンネル「HikakinTV」に比べて800分の1だが、「高知と言えば、坂本龍馬、広末涼子、ちゃがまらん。そう言われるようにがんばります」。

 「ちゃがまらん」の活動に共感し、ご飯を食べさせている居酒屋「はがじぞう」(高知市)の店主北川雄士さん(45)は「いつか県知事になって、高知の魅力を全国に伝えてほしいね」とエールを送る。(加藤秀彬)