【動画】機関車とピアノは似ている? 鉄道をテーマにした異色の演奏会が開かれる=戸田拓撮影
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 「機関車とピアノは似ている。ともに重く黒光りする近代工業製品で、その轟音(ごうおん)と加速度が人々を圧倒した」――。そんなコンセプトのもと、鉄道をテーマにした楽曲ばかり14曲を集めた異色のリサイタル「鉄道ピアノ音楽大全」が神奈川と東京で開かれる。鉄道草創期に路線の開通を記念して作られた祝祭的な音楽から、機関車の力感あふれる走行を表現した重厚な連弾作品まで、さまざまな鉄道の姿が音で描かれる。

 企画したのは神奈川県逗子市のピアニスト後藤國彦さん(54)。会社員から音楽の道に転じて海外で作曲などを学び、通訳・翻訳の仕事のかたわら作曲家として活動。40代になってから演奏活動を始めたという遅咲きのピアニストだ。20年近く前、19世紀フランスの作曲家アルカンの超絶技巧ピアノ曲「鉄道」を聴いて感銘を受け、鉄道や機関車に関連する音楽を収集するようになった。祖父と父が鉄道会社や車両製造に携わっていたという背景もあった。

 産業革命の申し子である蒸気機関車が生まれた19世紀前半。高熱を発するボイラーを備えた自走機械は当時の人々におそれや興奮とともに受け入れられ、やがては親しみや憧れの対象となっていった。各地で音楽家は新しい曲を作って鉄道の到来を祝ったという。

 この時代は同時に、フレームの鋳造技術の発展やハンマーアクションの改良などで、ピアノが現在の姿に進化した時期でもある。石炭を燃料に漆黒の車体から白い蒸気を噴き上げる機関車の姿と、黒白の鍵盤が山と谷を成すピアノのたたずまいに、後藤さんは共通する魅力を見いだした。

 「強く張られた鋼鉄の弦を金属フレームが支えるピアノも、紛れもなく近代重工業の産物。そしてリズムとともに野山を駆け抜け、暗いトンネルから明るい空間に躍り出る機関車の疾走は、それ自体とても音楽的です」

 プログラムは、米国ボルティモ…

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