[PR]

 小児がん治療で骨髄移植手術などを受けた影響で、定期予防接種ワクチンの抗体が失われた子どもらを対象に再接種の費用を独自に助成する自治体が90に上ることが厚生労働省の初めての調査でわかった。患者らからは国の助成を要望する声もあり、厚労省は今後、再接種への助成について検討する。

 骨髄移植など造血幹細胞移植を受けると、接種したワクチンの効果が消失することが多い。感染症を防ぐには再接種する必要がある。予防接種法に基づき、定期の予防接種には公費助成があるが、再接種は対象外。麻疹と風疹の混合ワクチン(MRワクチン)やB型肝炎ワクチンなど1回約1万円が自己負担となる。

 全国1741自治体に今年7月時点の状況を聞くと、新潟市や名古屋市など約5%の90自治体が助成していた。うち28自治体は全額補助していた。助成を予定しているのは83自治体、検討中は238自治体だった。

 全国市長会は2017年と18年に、再接種を定期接種に位置づけ助成対象とするよう要望。小児がん患者らの支援団体「がんの子どもを守る会」(東京都)も今夏、厚労省や都道府県に助成を求めた。

 長男(9)が16年に急性リンパ性白血病になった大阪府池田市の石嶋瑞穂さん(40)は「骨髄移植に限らず抗がん剤による治療なども対象としてほしい」と訴える。長男は1年間入院し、退院後も抗がん剤治療を続けた。7年前に水痘のワクチンを受けたが、先月水ぼうそうにかかり、口の中や足の裏まで全身に発疹が出て入院した。家族内でも感染が広がり、三男も二度目の水ぼうそうにかかったという。

 ワクチンに詳しい大阪市立総合医療センターの天羽(あもう)清子医師(小児救急科)によると、骨髄移植だけでなく、抗がん剤などの化学療法でも抗体をつくる細胞が少なくなり、過去に受けたワクチンの効果が失われることはありうるという。

 石嶋さんは「医療によって助かる子どもが増えているが、それを支える制度が追いついていない。個人の重症化を防ぐだけでなく、社会からウイルスを除くためにも、再接種の対象を広げた制度にしてもらいたい」と話す。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/黒田壮吉、後藤一也)