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 がん患者らが自然に囲まれて心を癒やせる地域に――。鹿児島県・徳之島の伊仙町がそんな理念を掲げて、「メディカルヴィレッジ」構想を進めている。空き家などを利用し、受け入れ態勢を整えたいという。全国の先駆けとなるモデル地区を目指し、10日、同町で国内初の学会が開かれる。

 大久保明町長と、日本メディカルヴィレッジ学会の樋野興夫理事長(順天堂大医学部教授)が2日、県庁で会見を開いて発表した。

 都市部でがん治療を受けている患者の中には、心が休まる環境で過ごしたいという希望者も多いという。このため樋野理事長が一昨年、同学会を発足。患者たちの要望に応える「村(ヴィレッジ)」のような場所をつくることができないかと考えた。伊仙町のほか、島根県出雲市や群馬県嬬恋村、栃木県日光市など自然豊かな全国の各地で「村」を目指す構想が始まっているという。

 伊仙町では10日、同学会が発足後、国内で初めての学会が開催される。町民らにも理解を深めてもらう機会になる。樋野理事長は「がんの生存率が上がった今の時代に、安心感を持って過ごせる場所が必要になった。伊仙町がそのモデルになれば、全国にも広がるだろう」とみる。

 町は今後、公民館や空き家を改修したり、民泊を受け入れる町民と協力したりしながら、受け入れ態勢を整えたい考え。島内の医療機関との連携も図りながら、全国からがん患者らに数カ月単位で「移住」してもらおうというものだ。

 大久保町長は「町の豊かな自然や食べ物は、人生に潤いを与えることができる。町にあるものを生かしながら、できるだけ早く実現したい」としている。

 学会は10日午後1時半から「徳之島交流ひろば ほーらい館」で。第1部が「終末期医療と離島医療」と題して専門家らの講演など。第2部が「離島から始まる新しい住まい方・働き方・暮らし方」をテーマに、パネルディスカッションなどがある。定員300人、無料。

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http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(野崎智也)