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 学校法人・東洋英和女学院(東京都港区)が、学界や論壇で受賞を重ねる深井智朗(ともあき)院長の著書に「研究活動上の不正行為の疑いがある」として、学内調査委員会を設置することが9日わかった。深井氏が引用した神学者の論文の存在が確認できていないという。

 問題の著書は「ヴァイマールの聖なる政治的精神――ドイツ・ナショナリズムとプロテスタンティズム」(岩波書店、2012年刊行)。4ページにわたり、「カール・レーフラー」という名の神学者が書いたとされる論文「今日の神学にとってのニーチェ」に基づいて論考が展開されているが、当の論文の書誌情報は示されていなかった。

 これに対し、北海学園大の小柳敦史准教授(ドイツキリスト教思想史)が3月、日本基督教学会を経由し、公開質問状を送った。「暫定的」とする回答が深井氏から学会に届いたのは7月2日で、9月25日付の学会誌「日本の神学」にあわせて掲載された。

 それによると小柳氏は、深井氏が記述した索引にある「Carl Loevler」を書籍やネットで調べ、論文が掲載されている可能性のある雑誌も30年分閲覧したが、名前も論文も発見できなかったという。小柳氏は「単なる『間違い』ではなく、深井氏による創作であると疑われる内容が含まれることが判明」したと指摘。10月25日号の「週刊新潮」がこうした経緯を報じた。

 深井氏は、レーフラーのつづりが実際は「Carl Fritz L●(●はoに〈ウムラウト〉付き)ffler」だったとし、「日本語にしますとどちらもレーフラーとなってしまうためにこのような誤りが起きたのだと思います」と説明。ドイツ語の書籍(カタログ)の名を挙げ「日本では未見」だが「そこにご指摘の文献の指示があります」と回答した。

 その書籍を小柳氏が入手し、全文を検証したが、引用したとされる箇所は見つからなかった。朝日新聞の記者も同じ書籍を読み、引用箇所がないことを確認。改めて深井氏に問い合わせたところ、「不明と指摘された引用元の確認をとりましたが、このカタログではありませんでした。お詫(わ)びします」とメールでの回答があった。

 同大学は「不正行為防止に関す…

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