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 医療現場の結核感染が後を絶たない。日本全体の結核患者数が減少するなか、相次ぐのはなぜなのか。

 東京都大田区の総合病院では、昨年から今年にかけて患者と職員の計24人が結核に感染。うち10人が発病し、患者2人が結核で死亡した。京都府の精神科病院でも患者と職員の計97人が結核に感染し、うち36人が発病した(今年10月時点)。感染源とみられる人が認知症で、自覚症状を訴えることが難しく、感染が広がる一因になった。

 新たに見つかる結核患者は20年ほど前は年4万人だったのが、2017年は約1万7千人まで減った。しかし、感染源が20人以上に結核を感染させる場合の「集団感染」は年40件前後で推移。うち約3割が病院や社会福祉施設で起きている。

 背景には、若い人がほとんど感染していない実態がある。1950年は推計で20歳のすでに半分が結核に感染していたが、現在はごくわずかだ。ひとたび発病者が出ると、昔よりも感染拡大が際立つ。また高齢者は昔に感染していた人が多く、発病することもある。高齢者の多い病院や社会福祉施設で、結核にかかったことがない若い職員などに感染が広がるケースも多いとみられる。

 「診断の遅れ」も一因だ。感染者が減ったことで結核への意識が薄れ、医療従事者が患者の結核に気付かず診察を続けて、自らも感染・発症し、さらに別の患者にも広げてしまうこともある。新たに報告される結核患者のうち、医療従事者は年500人前後で推移している。

 感染症法は、結核を発病すると周囲に感染させるおそれが高い医療従事者などに対し、病院が年1回、定期健診をすることを義務づけている。しかし、集団感染はなかなか減らない。結核研究所の森亨名誉所長は「定期健診だけにたよらず、診断遅れを減らす努力が必要だ」と話す。

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http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(水戸部六美)