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 明治神宮野球大会は10日、東京・神宮球場で高校の部の準々決勝が行われ、広陵(中国・広島)は星稜(北信越・石川)に0―9で七回コールド負けを喫した。修学旅行と引き換えに出場した大会は、初戦敗退で終わった。

 「(ベンチ入りした)控えの2年生に申し訳ない気持ちです」。広陵の先発石原勇輝(2年)は、小さな声を絞り出した。四回に6長短打を浴び、途中降板。7失点は、チームにとって重かった。

 謝りたい気持ちの裏には、チームで固めた一つの決意があった。秋季広島県大会を制した後、中井哲之監督がベンチ入りした2年生に尋ねた。「修学旅行、どうするんや」。高校生にとって最も楽しみなイベントの一つの日程が、神宮大会と重なっていた。中国大会を勝ち上がれば、キャンセルを余儀なくされる。キャンセル料金が発生する前の意思確認だった。

 答えは、「行きません」だった。エースの河野佳(2年)は言う。「広陵に入ったのは修学旅行に行くためじゃなくて、野球をやるためなので」。中井監督は、「中国大会で負けたら、あいつらだけ学校に残って自習になるところだった。決意を感じたよね」と振り返る。

 そうやって出場をかなえた神宮大会。この遠征が2年生のメンバーにとって、修学旅行の代わりとなった。唯一、旅行らしいことと言えば、開会式があった8日に原宿の竹下通りでクレープを食べたことくらいだった。

 背番号1の右腕にとって、その思い出よりも残した悔いの方が大きかった。この日は四回途中で石原からマウンドを譲り受けた。監督は前日のシート打撃で各投手の状態を見て、背番号10の石原に先発に決めていた。「中井先生から先発は石原と言われて、本当に悔しかった。エースはチームを引っ張る存在なのに」

 厳しい練習の日々から離れてディズニーランドや東京の街並みを満喫するはずだった修学旅行と引き換えに、経験した大敗。中井監督は「このチームはこんな負け方をしたことがなかった。『あの負けがあったから、選抜が、夏があった』と言われるようにしたい」と語った。(小俣勇貴

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