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 妊婦と赤ちゃんを結ぶ臍帯(さいたい、へその緒)と胎盤に含まれ、重い血液の病気の治療に使われる「臍帯血(けつ)」を巡り、兵庫県内の医療機関で9月末から移植用臍帯血の提供の受け入れが止まっている。約600件の採取ができない見込みだ。

 厚生労働省と日本赤十字社によると、臍帯血には血液を作り出すもとになる造血幹細胞が多く含まれる。国に認められた全国6カ所の「公的バンク」に約8800件が凍結保存され(13日時点)、年間約1300件が患者に移植される。「今のところ不足はしていない」(厚労省)という。

 NPO法人「兵庫さい帯血バンク」(兵庫県西宮市)は公的バンクの一つで、兵庫県内の18医療機関から臍帯血の提供を受ける。昨年度は約1万件の出産があり、うち妊婦から提供の同意を得た1815件を採取した。この中から母子の健康状態など一定基準を満たす266件がバンク内で凍結保存された。

 だが、バンクが入居する西宮市の兵庫医科大学の建て替えに伴い、神戸市の日赤兵庫県支部への移転が3月に決まり、10月から無菌室や凍結保存用のタンクなどの移転を始めた。このため、移転作業や国の現地検査などが終わる来年1月まで、新たな臍帯血の提供を受け入れられないという。

 一方、大阪市にある公的バンクの「日赤近畿さい帯血バンク」は、兵庫バンクに代わって臍帯血を受け入れる検討を進めていた。兵庫県内の医療機関と臍帯血の搬送方法などについて事前に協議・契約する必要があるが、「手続きは2カ月程度でできる。分量的にも受け入れはおおむね可能」(担当者)とみていた。

 しかし、兵庫バンクと厚労省から受け入れ要請がなく、実現しなかった。厚労省は「事務手続きが煩雑で医療機関の負担が大きく、移転後に兵庫バンクと再契約を結ぶかも不透明。デメリットが大きい」(担当者)と判断したという。

 兵庫県内の医療機関からは「提供を希望する方もいるので残念」(助産師)、「いったん受け入れを休止したことで今後の提供者が減らないか心配」(産婦人科医)との声も上がる。

 兵庫バンクの担当者は「移転期間中に臍帯血の提供を希望していたお母さんには申し訳ない。できるだけ早く受け入れを再開したい」と話している。(島脇健史)