小津安二郎監督の晩年の作品で印象的な演技を見せた三上真一郎さんが誤嚥(ごえん)性肺炎で亡くなっていた。77歳、7月14日のことだった。妻の沙代美さんによると、三上さんは「何かあっても大騒ぎはしないように」と話しており、公表せずに葬儀も近親者で営んだという。

 高校在学中に松竹に入り、「若い広場」(1958年)でデビュー。65年に独立後も、「仁義なき戦い」(73年)など多くの映画やテレビに出演。ここ15年は表舞台からは退いていた。

 映画ファンの記憶に残るのは、小津監督最後の作品「秋刀魚の味」(62年)での平山家の末っ子役だろう。岩下志麻の弟で現代っ子の学生を伸び伸びと演じ、笠智衆や佐田啓二ら小津組の常連とも堂々と渡り合っていた。

 三上さんは、「秋日和」(60年)で見いだしてくれた名匠との交流を著書「巨匠とチンピラ―小津安二郎との日々」にも書いた。沙代美さんは「三上の俳優人生で小津先生の影響は大きかったのでしょう。先生の話をしているときがいちばん生き生きとしていました」と話した。(小峰健二)