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 11月から岐阜市の小学校で、弁護士による法教育の授業が始まった。子どもたちに法的なものの考え方を身につけてもらうのが狙い。再来年度までにすべての市立小学校で実施する計画だ。

 「調停とは、話し合いで物事を解決することです。両方の立場の話を聞いてください」。今月中旬、市立長森南小学校では武藤玲央奈弁護士(44)が6年生のクラスで教壇に立った。授業では、漫画の貸し借りをめぐる友人同士のトラブルを題材に、児童らが解決策を模索した。

 市と県弁護士会は今年3月、県内で初めて法教育推進に関する協定を結んだ。日本弁護士連合会の記録によると、自治体と協定を結んでの同様の取り組みは、三重弁護士会と同県川越町に続き、全国で2例目だという。

 県弁護士会と岐阜市は、中立的なものの考え方や話し合いの大切さを学ぶことを重視。法知識の授業や模擬裁判の体験ではなく、子どもたちに身近な問題を題材に、意見を交わしながら進める授業をめざす。

 長森南小学校では、児童の間でもめごとがおきた場合、一方に肩入れして考えてしまう児童が多いことを課題に感じていた。弁護士は、事前の打ち合わせで学校側の要望を聞き、もめごとの解決方法についての授業内容を提案した。

 漫画を貸して、すぐに返却を求める子どもと、返したくないと訴える子どもを教員が演じる。児童らは双方の訴えを聞いて解決策を考えた。

 授業の冒頭では「貸さなければ良かった」「読みたければ自分で買えば良い」といった短絡的な意見が目立ったが、双方の理由を深く聞くうちに変化が見られた。実は貸した子どもは締め切りが迫っている付録の応募はがきを取り戻したいと考えていた。そのことがわかると、児童たちは「一度返してもらって、はがきを切り離して、また貸してあげればいい」などの解決策を提案した。

 武藤弁護士は「みなさんが生きていく中で意見が食い違う場面に出会うことはたくさんあると思う。両方の立場の言い分を聞いて、良い解決策を考えられる大人になってほしい」と語りかけた。

 担任の中村幸智教諭(26)は「6年生になると、本心を言えずにもめることが多くなってくる。もめごとの理由を中立の立場で考えるということは、とても良い経験になったと思う」と手応えを感じていた。

 県弁護士会は今後、中学校や特別支援学校での授業も検討しているという。(松浦祥子)