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【アピタル+】患者を生きる・嚥下障害(リハビリ)

 嚥下(えんげ)障害の治療やリハビリに積極的に取り組む医療機関や、嚥下障害のある人でも食べやすい食事を提供するレストランなども増えつつあります。地域の医療機関と連携し、訪問診療にも対応している東京医科歯科大歯学部付属病院摂食嚥下リハビリテーション外来診療科長の戸原玄さんに、リハビリのポイントなどについて聞きました。

摂食嚥下障害
病気や加齢などが原因で、食べ物をかむ力やのみ込む力が低下することがある。食べ物を認識して口の中でかみ砕くことや、舌を使ってのどに移動させたり、のどから食道、食道から胃へと運んだりすることがうまくできない状態をいう。

――施設や在宅への訪問診療では、どのようなことを具体的に行っていますか。

 主治医やケアマネジャー、患者さんやご家族からの依頼などを受けて、訪問診療をしています。問診では、まずは目が覚めているか、声が出せるか、まひがあるか、姿勢を保てるか、などの点をみています。加齢によって筋力が低下することがありますが、体幹の筋肉を維持して、しっかり姿勢を保てることも、口から食べる上ではとても重要な要素です。

 また、鼻から内視鏡を入れて、水や食べ物を実際にのみ込む様子を観察する嚥下内視鏡検査で、嚥下の機能を評価します。定期的に検査をすることで、食べ物をかんだりのみ込んだりする機能が前より良くなったのか、変わっていないのかなども把握します。ここ5年ほどで、このような検査を訪問でするケースもだいぶ増えたと感じています。その上で、具体的なリハビリを指導したり、どんな食べ物に挑戦するか、アドバイスしたりしています。

写真・図版

――どのようなリハビリが有効ですか。

 口を大きくあける筋力と嚥下の筋力は同じなので、口をおもいっきりあける訓練もよいです。本気で10秒間あけることを5回繰り返します。それを1日2セットして筋力を鍛えます。

 また、介護施設に入所されている場合でも、できるだけ寝ていないで座っているようにしたり、いすに座れる人は背もたれのないいすに腰掛けるようにしたり心がけることもよいです。体幹の筋肉を維持するために、スクワットをすることもあります。

――嚥下障害があっても食べやすい食事を提供するレストランもあるそうですね。

 料理を小口に切ったり、ペーストにして提供したりするフランス料理の店や、ミキサー食やきざみ食に対応したカフェなどもあります。日本医療研究開発機構の研究班として、嚥下障害に対応している全国の医療機関をまとめたウェブサイト「摂食嚥下関連医療資源マップ」(http://www.swallowing.link/別ウインドウで開きます)を2014年から公開していますが、この中でそのような飲食店の一覧も掲載し、随時情報を更新しています。

 嚥下障害のある方は、どうしても自宅や施設にこもりがちになりますが、先日、外食をすることで、「何年ぶりに肉を食べただろうか」という方がいました。普段は施設で「要介護の患者さん」として扱われている人が、レストランでは「お客さん」として接してもらうことで、気分も全く違うようです。外食は外出につながります。「レストランにまた行こう」という目標を、治療やリハビリのモチベーションにして、気持ちをつなげることにも効果があると思います。

 ◇ご意見・体験は、氏名と連絡先を明記のうえ、iryo-k@asahi.comメールするへお寄せください。

<アピタル:患者を生きる・食べる>http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/

(聞き手・佐藤建仁)