[PR]

医の手帳・高齢者の摂食嚥下障害(3)

 摂食嚥下(えんげ)診療では、最近になり「老嚥(ろうえん)」ということばが注目されています。老嚥とは加齢以外に明らかな原因のない高齢者の嚥下機能低下であり、運動機能だけではなく口腔(こうくう)や咽頭(いんとう)の感覚機能も低下することが知られています。

 また、呼吸機能も衰えていくため、誤嚥(ごえん)した際にせきこむ力が低下して誤嚥性肺炎を生じやすくなります。これらの機能低下は、早期に発見すれば適切な栄養管理や嚥下訓練によって改善できます。今回は簡単にできる嚥下訓練について説明します。

 食べ物を咀嚼(そしゃく)したり、のどに送り込んだりするには、口腔や舌の筋肉すなわち運動機能が重要です。これらの運動機能を鍛える訓練として「あいうべ体操」や「パタカラ体操」があります。声を出しながら口や舌を大きく動かすことで、口腔の機能を高めます。嚥下には舌骨上筋群や咽頭筋が重要です。

 「おでこ体操」は、手でおでこを押さえることで抵抗をかけ、のどぼとけのあたりを意識しながら、あごを引くことでこれらの筋肉を鍛えることができます。次いで感覚機能を改善する訓練として、「口腔ケア」や「アイスマッサージ」が代表的です。口腔ケアは、スポンジブラシなどで口腔内を清潔に保つとともに感覚機能を改善させます。アイスマッサージは、凍らせた綿棒を用いて口腔内をマッサージすることで嚥下の感覚機能を高めます。

 他に誤嚥した際にせきこむ力を鍛える呼吸訓練も肺炎予防に有効です。呼吸訓練として「ブローイング訓練」や「ハッフィング」があります。ブローイング訓練は、ペットボトルやコップに水を入れて、ストローで吹き続けるものです。ハッフィングでは、おなかに手を当てて「はっはっはっ」などと強く息を出すことで、呼吸機能を高めます。以上の訓練はご自宅でもできるものなのでぜひ試してみてはいかがでしょうか。

 

<アピタル:医の手帳>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/techou/(新潟大学地域医療教育センター魚沼基幹病院 渡辺慶大 言語聴覚士)