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 福島県内の地域包括ケアや共生を考える研究会が17日、南相馬市で開かれ、医療・福祉の従事者や研究者ら数十人が集まった。この日のテーマは「相双地域の医療提供体制を考える」。震災後に著しい医療人材の不足などの課題をどう克服するかが議論された。

 基調講演では、相双地域の中核病院である南相馬市立総合病院の及川友好病院長が、震災当時の病院の状況を振り返りながら医療復興について語った。

 2011年3月14日の東京電力福島第一原発3号機の水素爆発を受け、及川さんらは職員を全員集め、病院として職員の自主避難を認めることを伝えた。小さい子どもを抱える女性など限られた人だけが避難すると予想していたが、次の日、病院に来た職員は全体の3分の1の80人から90人だけだったという。

 震災2カ月後には住民帰還が始まり医療ニーズが増大したが、医療従事者の帰還は進まず震災前16人いた医師は震災3カ月後、4人だけだった。18年4月時点では県外からの復興支援で常勤医は21人まで増えた。しかし復興支援で常勤となった医師は1年から5年で離職する傾向があり、後任確保は難しいという。

 また避難しなかった職員が避難した職員を責める傾向があるといい、避難した職員の復職率は低い。及川さんは「事故に伴う避難によって社会の崩壊、家族の崩壊が起きた」と話した。

 課題に市内に子どもが入院できる病院がないことを挙げ、「少子化対策として小児科の病院体制を作ることが喫緊の課題」とした。

 このほかに県ふたば医療センター付属病院(富岡町)の児島由利江・看護部長や楢葉町の特養「リリー園」の玉根幸恵施設長らが報告をした。

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http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/小泉浩樹