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母袋燻り豆腐(税別840円)

 お豆腐なのにまるでチーズ。郡上市大和町の「母袋(もたい)工房」が昭和から平成に変わろうとするころの世相を加味し、1989(平成元)年に復活させた、伝統の味です。

 元々の地域の味は燻(いぶ)り豆腐。発祥は鎌倉時代ともいわれ、平家の落人が伝えたとの説もある古いものだとか。昔は農家が育てた大豆で自家製豆腐をつくり、それを火棚と呼ばれる囲炉裏の上の棚で燻した保存食。豆腐を煮物にした一皿は冠婚葬祭に欠かせないハレの料理でした。

 そして30年ほど前、他の地域と同様、「町おこし」に沸く旧大和町。「伝統の燻り豆腐の技術を生かした名産品を! 新しい雇用を!」。当時スキー場経営者で町議だった先代・筧政之助(かけひまさのすけ)さんは、試行錯誤を繰り返し、“身近な郡上味噌(みそ)で豆腐を味付け”してから燻る現在の母袋燻り豆腐を完成させました。

 89年に母袋工房を創業。工房内で真っ黒に燻された燻製(くんせい)器はそんな先代の手づくり品。大豆を水につける作業から3日かけて完成の手順を守ります。仕上げは、一つ一つ竹の皮に包む、全工程手作業で通す名品にふさわしい包装。平成最後の年末年始に食べたい逸品です。

採取地

大和ストアー Pio店

(岐阜・郡上)

0575・88・0050

デジタル余話

 今も先代の味を守る、若女将(わかおかみ)の筧紀子さんにお話をうかがい、昭和の男の原動力に感動。残念ながら先代は2年前に亡くなったそうです。それより前、私が東海テレビの番組「スイッチ!」に出演時、この母袋燻り豆腐を試食するチャンスがありました。そう、スタジオでタレントさんが食べて「美味(おい)しい」って言う、アレです。食レポはなかなか難しいのですが、この時ばかりは、すらすらと言葉が出てきたのを覚えています。美味しいものは伝えたい。これが私の原動力。

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 菅原佳己(すがわら・よしみ) スーパーマーケット研究家。新刊「東海ご当地スーパー 珠玉の日常食」(12月20日発売)。公式サイト(https://www.gotouchisuper.online別ウインドウで開きます)。

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