製薬大手ノバルティスの高血圧治療薬「ディオバン」に関する論文不正事件で、薬事法(現・医薬品医療機器法)違反の罪に問われた同社元社員・白橋伸雄被告(67)の控訴審判決が19日、東京高裁であった。芦沢政治裁判長は虚偽データに基づく論文を学術誌に掲載したとしても、同法が禁じる「虚偽記述・広告」には当たらないと判断。一審の無罪判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。罰金を求刑された同社についても、無罪の判断を維持した。
白橋被告は、ディオバンの効果を調べる京都府立医大の臨床研究に参加。狭心症や心不全を防ぐ効能が高くなるよう操作したデータを担当教授らに渡し、2011年と12年に虚偽の論文2本を学術誌に掲載させたとして起訴された。
高裁判決は論文について、専門家向けの学術研究報告で、正式な審査を経て掲載に至っていると指摘。「実質は販促のための広告だ」という検察側の主張に対し、広告の「準備行為」にとどまると認定した。
そのうえで、故意に虚偽情報…
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