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 タクシーの利用が増える忘年会シーズンを控えて、名古屋市のタクシー会社がマナーがよくない乗客への対応に本腰を入れ始めた。同時にいくつものタクシー会社に配車を申し込んだり、予約時間になっても乗車しなかったり……。人手不足が課題となっているタクシー業界が、運転手の「生産性向上」をめざし、知恵を絞っている。

 「予約の時間を5分経過した時点でメーターを入れます」「(客と連絡が取れない場合)到着後10分経過した時点でキャンセルといたします」――。名古屋を拠点とするタクシー会社の「つばめグループ」(約1200台)は11月中旬、顧客に向けたパンフレットを車内で配り始めた。

 きっかけは、利用者のマナー悪化だ。

 複数のタクシー会社に同時に配車を申し込み、一番最初に到着した車に乗って残りはキャンセルにする事案が目立っている。つばめグループでは10月に独自の配車アプリを経由して1万5千回ほどの予約を受け付けたが、うちキャンセルが685回にのぼり、キャンセルの連絡もなかったのが270回もあったため、対応を迫られたという。グループ幹部は「多数のタクシー会社に対応している配車アプリもあって、予約が簡単になっているからかもしれない」とみる。

 名鉄タクシーホールディングス(約980台)では9月中旬から、予約時間の5分後にメーターを入れることを徹底するようにした。佐野達郎取締役は「タクシー業界では現在、人手不足が深刻。運転手の人数が限られる中で、一人ひとりの『生産性』を高め効率よく配車したい」と、ねらいを話す。

 現場で働く運転手からは「お客に速やかに乗ってもらえるようになり、仕事がしやすくなった」という声が寄せられ、効果が出始めたという。

 名古屋タクシー協会(加盟88社)は「運転手にとっては売り上げが給料に直接結びつく。到着してから、足止めされる時間を減らしていきたい」としており、各タクシー会社の対応に理解を求めている。(細見るい)