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 日産自動車の代表取締役会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)ら2人が、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで、東京地検特捜部に19日に逮捕されたことを受け、日産の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)は19日夜、横浜市の本社で記者会見を開いた。

 会見冒頭で西川社長は、「株主の皆様、関係者の皆様に多大なご心配をおかけすることになった。深くおわびしたい」と陳謝した。逮捕に至ったきっかけについては「内部の通報に端を発し、監査役からの問題提起を経て社内調査を行った結果、両名の主導による複数の重大不正の事実確認にいたった」と語った。

 記者会見での主なやりとりは以下の通り。

 ――逮捕されたゴーン会長と同社代表取締役グレッグ・ケリー容疑者以外の幹部の関与は。

 「(ゴーン会長とケリー代表取締役の)2人が首謀であることは認識しているが、それ以上は捜査の関係があるので控えたい」

 ――日産自動車のほかの役員の受け止めは。

 「役員がこの件を知ったのはつい先ほど。事案の中身から非常に秘匿をしていたので、彼らも今それを聞いて、一体何があったのかという感覚だ」

 ――解任の提案を決めたのはいつごろか。

 「その方向で私が事案を見て、専門家からもアドバイスをいただいたのは、社内調査がまとまった段階。これがいつか、というのは申し上げにくいが、社内調査がまとまった段階でそういう判断をした」

 ――不正はいつからあったと会社は認識しているか。

 「そこについてはいずれ内容をオープンにしたい」

 ――株主に代わり、失われた利益を取り戻すべき立場だ。会社として(両容疑者を)訴えるのか。

 「きょう、答えるわけにはいかないが、当然、(訴えることに)値する事案だとは認識している」

 ――約50億円のお金の行方がわかっていない。帳簿上はどうなっているのか。

 「そこも今の段階ではお話しできない」

 ――ゴーン会長にどういう形で権力が集中したのか。

 「やはり長い間で、徐々に(権力の集中が)形成をされてきたとしかいいようがない。ルノーと日産のトップを兼務するあり方は少し無理があった。ただ、私自身、総括できていない」

 「現場から離れるにつれて、話をする人間が少なくなり、限られた(情報を)インプットしてしまう。もちろん誰にでもあることだが、問題点が昨今は多く見られたというのが実感だ」

 ――ゴーン会長はカリスマだったのか、暴君だったのか。

 「当面の対応に追われているので、もう少しじっくり考えたい。なかなかほかの人間ができなかったこと、初期については非常に大きな改革を実施したという実績は紛れもない事実だ。その後については、やはり功罪両方あるかな、というのが実感だ。権力の座に長く座っていたことに対するガバナンス面だけでなく、業務の面でも弊害が見えたと実感している。その部分について、私の意見を申し上げることはあったが、こういう事態にいたった」

 ――有価証券報告書に虚偽記載があったということは、粉飾決算ではないか。

 「これは粉飾というより、本来記載すべきことが記載されていなかったということだ。その部分が適正ではなかったということで当然のことながら、瑕疵(かし)を認めなければいけない」

 ――ケリー代表取締役は社内で何を担当していたのか。

 「ゴーン(会長の)側近として影響力が大きかった。近年は会長へのアドバイス以上の機能は持っていなかった。影響力は徐々に落ちてきていた」

 ――日産ブランドへのダメージは。

 「ゴーン(会長)と日産は重ねて見られるだろうが、我々ができることは、日産ブランドそのものとして見てもらうことだ」

 ――日産、三菱自動車、仏ルノーによる3社連合に与える影響は。

 「影響はないとは言わないが、3社の取締役会同士が緊密に話し合いをしていく」

 ――ゴーン会長の高額報酬は正当だったのか。

 「パフォーマンスに応じて支払われていくべきだと考える」

 ――権力の集中を許したのは経営陣のチェック機能が働かなかったからでは。

 「猛省すべきだ。こういうことが起きないようにするべきで、この19年間で十分できていたのか、やはり反省しなければならない」

 ――司法取引はあったのか。

 「私はまったくコメントできない立場。これは控えさせていただきたい」

 ――西川社長自身の責任は。

 「一日も早く会社を正常な状態にして先に進ませるためにやることが山積みしている。そこを進めるのが私の仕事だ。ガバナンス体制、執行体制についても、変えるべきところは変えていく。そこを足早にやっていくことに集中したい」

 ――連合を組む仏ルノーや三菱自動車の反応は。

 「状況を知らせてから時間が経っていない。両社に説明したところ、『よく分かった』という反応だった。その先どうするかは、それぞれの会社が取締役会で判断すると思う」

 ――ゴーン会長がケリー代表取締役に指示したのか。

 「申し上げにくい。つかんでいる事実はあるが、判断は最終的には捜査当局だ。ただ2人が首謀したことは間違いない」

 ――ゴーン会長から話を聴いているのか。

 「お伝えしにくい。内部調査の詳細については、控えさせていただきたい」

 ――本人からの弁明は。

 「聞いていない」

 ――これだけの不正をなぜ見抜けなかったのか。

 「会社の仕組みが形骸化しており、透明性が低く、ガバナンスの問題が大きい。仏ルノーは日産の株式の43%を持つ株主。ゴーン会長は執行権もあり、日産の取締役会議長でもある。非常に注意しないといけない権力構造だった。何か起きたときの歯止めが弱かったと私はみているし、直す必要がある」

 ――当面のガバナンス体制は。

 「取締役会で諮って決める。まず22日に相談して運用を決める。実際にどの段階で株主総会を招集するかはこれから諮っていきたい」

 ――不正行為の動機は。

 「控えさせてもらう」

 ――なぜゴーン会長への権限の集中を防げなかったのか。

 「ゴーン会長がルノーと日産CEOを兼務することになったとき、日産を率いたゴーン会長がルノーに行くのだから良いことだ、と我々は当然のように考えた。将来どういうことが起きるか、あまり議論しなかった。その段階が契機、転機だったと思う」