【動画】中村開己さんが作るペーパークラフトには、斬新なからくりが仕込まれている=竹田和博撮影
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 薄っぺらな状態から下に落としただけで立体的になるペンギン。指先で軽く押すと1回転するダイオウイカ――。斬新なからくり仕掛けのペーパークラフトの作家が富山市にいる。「人を楽しませ、驚かせたい」と作品を作り続けている。

 「紙のからくり」を略して「カミカラ」。中村開己(はるき)さん(51)が立ち上げたブランド名で、作品の代名詞になっている。

 カミカラの特徴は、落としたり指で押したり、簡単な動作で反応する仕掛け。動物やゾンビなどが「どんな動きをしたら面白いか」と想像を広げ、紙と輪ゴムや磁石を使い、想像した動きを再現するための仕掛けを考える。

 「勝負はそこから」。仕掛けが「100回中100回ちゃんと動く」ようにミリ単位で調整し、試作を重ねる。「作りすぎて、最後の方は、本当に面白いかどうか分からなくなる」

 作品は型紙を販売し、買った人が作って遊ぶ。そのため、買った人の「作りやすさ」と「動きの面白さ」のバランスが難しいが「思った通りの動きを作っていく面白さがあって全く苦じゃない」という。

 「天職」と言うペーパークラフトとの出会いは、27歳のころ。会社員をしながら絵を描いていたが「プロになる才能はなかった」。図書館でたまたまペーパークラフトの本を手にし、輪ゴムを使った作品に目が留まった。「こんな表現があるのか」。独学で作品を作り始めた。

 35歳のころ、イベントで初めて大勢の人に作品を披露して「ウケる楽しさを実感した」。

 そして40歳。勤めていた会社を辞め、ペーパークラフト作家として生きていくことを決意。不安もあったが「年をとってから、勝負しなかったことを後悔するのは嫌だった」。脱サラを決めて間もなく、作品を目にした編集者から、作品の型紙をまとめた本を出版する話が持ち込まれる。インターネット上でも作品の動画が話題になり、海外からも注目された。これまでに型紙付きのものなど計8冊の本を出版。一部は台湾や中国で翻訳された。ホームページ(http://www.kamikara.com別ウインドウで開きます)でも作品を販売している。

 買ってくれた人が切り抜きやすいデザインや、のりを使わずに作れる設計を探り、作品の改良に余念がない中村さん。「まずは純粋に楽しんでもらって、ついでに細かな工夫にも気付いてもらえたらうれしいですね」(竹田和博)