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カイシャで生きる 第11話

 昨年、政界を引退した亀井静香(82)が最近になってカイシャを興した。太陽光発電を広め、現場から「脱原発」の可能性を探るという。政界では犬猿の仲だったあの元総理と、なぜか同じ旗印を掲げている。(敬称略)

ゴルフ場頓挫の地にメガソーラー

 議員バッジが光っていた左胸には社章が収まっていた。再生可能エネルギーの普及をめざすMJSソーラー(東京都新宿区)の代表取締役会長。これが亀井のいまの肩書だ。

 10月23日、兵庫県丹波市に亀井はいた。太陽光の「市島発電所」の建設に臨む地鎮祭だ。政治家時代、こうした祭事には何度も来賓として招かれたが、いまは立場が違う。事業家として、主催者として、招いた来賓に頭を下げて回った。

 亀井はまだ雑草が生い茂る土地を見渡し、腕を組んだ。そして決意を口にした。

 「脱原発はできるんだぞ。でも、だれもやろうとしないからさ、どうやったらできるかを俺が考えることにしたんだよ」

 発電所をつくるのは、27ホールのゴルフ場開発が頓挫した跡地119ヘクタール。そこをMJSソーラーが買い取った。11万8千枚の太陽光パネルを並べ、10キロ離れた関西電力の変電所まで送電する計画だ。

 完成予定は2021年夏。発電能力は27メガワットで、丹波市の35%に相当する8900世帯分を賄える。総事業費120億円の大半はりそな銀行から融資を受ける。41年までの20年間、安定供給に責任を持つ代わりに、電力を一定価格で買い取ってもらう契約を関電と結んだ。

 MJSソーラーは埼玉県本庄市のゴルフ場跡地(81ヘクタール)と、奈良県五條市の養鶏場跡地(2ヘクタール)も取得している。本庄市には150億円を投じて14万8千枚のパネルを並べ、丹波市より大規模な40メガワットの太陽光発電所を建設する。五條市には、地元の木材を活用した10メガワットのバイオマス発電所を建てるという。

 いずれも2年以内の着工を目指している。3カ所を合わせた発電能力は77メガワット。人口約6万5千人の丹波市の全世帯、約2万5千世帯分の電力を賄える計算だ。

 亀井は語る。「始めるまでが大変だが、始められれば再生可能エネルギーは『超』の字がつく優良事業になる。だから銀行もカネを貸す。楽ちん楽ちんさ」

 傘寿を過ぎても、亀井は自分のことを「俺なんかまだ鼻垂れ小僧さ」という。「亀は万年」だからだそうだ。そんな亀井にとって、今も心残りになっている1日がある。

 「あのとき、菅が俺の言うことを聞いてくれれば……」

 話は7年半前、東日本大震災か…

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