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 2020年東京五輪の準備状況を確認するため、来日中の国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長と、安倍晋三首相が24日、福島市の野球・ソフトボール会場を訪れた。東日本大震災からの「復興五輪」を改めてアピールする狙いがあったが、被災地の置かれた状況は厳しく、受け止めは複雑だ。

 バッハ氏と安倍首相が訪れたのは、福島県営あづま球場。隣接の体育館でバッハ氏と会談した首相は、「復興五輪と銘打って、復興した姿を世界に発信したい」とあいさつ。バッハ氏が「心の復興という中ではスポーツが大きな役割を果たす」と笑顔で応じた。

 今回、改めて「復興五輪」が強調された背景には、政府とIOCの思惑があった。

 日本で人気のある野球・ソフトボールの会場で、全競技に先駆けてソフトボールの日本の開幕戦が行われる同球場を、政府は「『復興五輪』を体現する聖地」(内閣官房幹部)と位置づける。注目を集めるIOCトップの訪問に、首相の被災地視察のタイミングを合わせた。

 東京電力福島第一原発の汚染水漏れの影響を懸念する各国を前に、首相が「アンダーコントロール(管理下にある)」と胸を張ったのは、13年にアルゼンチンであったIOC総会だった。

 しかし、いまも韓国や中国など、25カ国・地域で福島産食材などの輸入規制が続く。政府内には、首相が今回の福島訪問でIOC会長と再び並ぶことで「五輪前に風評を払拭(ふっしょく)し、改めて世界に安全をアピールしておきたい」(政府高官)との考えがあった。

 一方、IOCの側にも、世界中で開催地に手を挙げる都市が減るなかで、会長自らが被災地でスポーツの意義を強調することで、五輪の力や組織の存在感を示す狙いがあった。そもそも野球とソフトボールの福島開催自体、16年に首相官邸を訪問したバッハ氏が「世界の人たちに復興の進捗(しんちょく)を示したい」と提案したのがきっかけだった。

■「うきうきワクワクなん…

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