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元東電社員の記者が追った福島第一(下)

 東京本社から名古屋に転勤になった。3月30日夕、JR品川駅を発つ。新幹線の中で、「本当に行くべきなのは北ではないのか」と真面目に考えていた。

 照明がすべて灯(とも)る名古屋駅はまぶしかった。節電の首都にいた私には、それだけで平穏に思えた。

 不動産屋を訪ね、新たに暮らすマンションの鍵を受け取った。女性社員から「放射能の避難者が名古屋にも多い」と聞いた。調べると、当時、福島県からは3万人超が全国に避難していた。

 名古屋でも原発と縁が切れたわけではない。中部電力も静岡県に浜岡原発を持つ。大津波に備えた防潮堤の建設が議論されていた。

 4月14日のことだ。「東北被災地の記者を増員する」。打ち合わせの席で、部長が会社の方針を説明した。終了後、自分の席に戻ると、部長がわざわざやって来た。「今晩空いてたら、飲みに行かないか」

 「覚悟」を決めた。他人に言われてやらされる仕事など気が進まない。自分から言い出そう。

 会社の近くの焼き鳥屋。席に座るなり、切り出した。

 「分かってます。福島総局か原発に近い支局にお願いします」

 驚いた部長の顔は今も忘れない。転勤してきた私と飲みたかっただけ、だったらしい。

 名古屋に単身赴任して2週間。…

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