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【アピタル+】患者を生きる・食べる「食道がん」(治療、予防、手術後の注意点)

 60~70代の高齢男性に患者が多く、飲酒や喫煙が主な原因とされる食道がん。国立がん研究センター中央病院食道外科の大幸宏幸科長(49)に、食道がんとアルコールとの関係や、予防、治療法などについて聞きました。

――なぜお酒をたくさん飲む人は食道がんになりやすいのですか。

 お酒を飲む人すべてががんになりやすいわけではありません。アルコールを代謝する二つの酵素をつくる遺伝子に異常がある人がお酒をたくさん飲んでいると、うまく代謝されずにアセトアルデヒドという発がん性のある物質が体の中に蓄積され、食道がんになりやすくなります。初めてお酒を飲んだときに顔が赤くなる人がそのタイプで、「フラッシャー」と呼ばれます。

――そのようなタイプの人が気をつけることは。

 アルコールを控え、定期的に検査を受けることです。食道がんも早期の発見、治療が大事で、食道の粘膜にとどまるがんであれば、しっかり治療できれば長期生存が期待できます。ただ、アルコールがすべて悪いかというとそうではないので、過度な飲酒を控え、40歳以上になったら定期的に胃カメラ検査を受けた方がよいでしょう。

 

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――がんが見つかった場合の主な治療法は。

 がんが食道の粘膜にとどまる段階なら、口から入れる内視鏡で切除できます。進行してリンパ節への転移の可能性がある場合は、食道と周りのリンパ節を摘出する手術や、抗がん剤、放射線療法が必要になります。現在は抗がん剤でがんを小さくしてから、手術をするのが主流です。手術で取り切れないほど進行しているときは、抗がん剤の後に放射線治療などが行われます。手術は、首の部分の食道がんならば、食道を取り除いた後に小腸を移植します。胸部(胸腹部)ならば、胃を管状に伸ばしてつなげます。

 以前は胸やおなかを大きく開く手術が行われていましたが、現在は傷が小さく痛みの少ない胸腔(きょうくう)鏡や腹腔(ふくくう)鏡による手術が増えています。今年4月からは、ロボット手術も保険適用となりました。また、治療薬では現在、免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」の臨床試験が行われています。

――治療上で注意が必要なことはありますか。

 食道がんの手術は、首と胸とおなかと広範囲にわたるため、肺炎などの合併症を起こすことが他のがんより多いです。手術前からリハビリをすることで、合併症のリスクを下げられます。リハビリは肺活量を上げる呼吸練習やたんを出す練習、口腔(こうくう)ケアをします。散歩などの有酸素運動も重要です。

――食事で気をつける点は。

 つかえ感がある場合は、硬いものは避け、食道を通りやすいおかゆなどの軟らかいものをとるようにしてもらいます。一口の量を少なくして、よくかんで、のみ込むようにしてもらいます。手術後は、特に食事制限はありませんが、すぐおなかいっぱいになります。1回の食事量が落ちるため、3回だった1日の食事の回数を5回ほどにこまめに分ける必要があります。術後半年くらいをめどに5回から4回、3回と減らしていきます。放射線治療の影響で食道炎の症状があるときは、刺激物を控えることが必要になります。

 

 ◇ご意見・体験は、氏名と連絡先を明記のうえ、iryo-k@asahi.comメールするへお寄せください。

<アピタル:患者を生きる・食べる>

http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/(聞き手・土肥修一)