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 2020年の東京五輪・パラリンピックに続き、25年に大阪万博が開催されることになった。170カ国が加盟する博覧会国際事務局(BIE)の総会で投票してもらうため、日本は政官財を挙げて水面下の集票工作を繰り広げた。誘致活動の舞台裏を取材した。(辻森尚仁、パリ=半田尚子、新田哲史)

 23日午後7時半(日本時間24日午前3時半)、パリ西部のブーローニュの森にあるパーティー会場。日本が開いた祝宴に、BIE総会に出席した各国代表ら150人以上が集まった。

 「サンキュー。大阪でお待ちしています」。世耕弘成・経済産業相や松井一郎・大阪府知事らが、誘致活動で顔なじみになった各国代表の元に駆け寄り、満面の笑みで握手を交わした。

 誘致委員会の榊原定征会長(経団連名誉会長)は開催決定後の記者会見で、「地球的な課題を解決するというコンセプトが、加盟国の皆さんからご支持をいただいた」と胸を張った。

 だが実際の誘致活動は、立候補したロシアとアゼルバイジャンとの経済支援をからめた神経戦だった。

 大阪府や大阪市、経済界などでつくる誘致委は6月以降、外務省などと連携し、大票田のアフリカや欧州を中心に30カ国を超える政府要人を次々と日本に招いた。安倍晋三首相ら政権幹部との会談もセッティングし、票固めを進めた。

 11月上旬。大阪の外資系ホテルの日本料理店に、バルカン半島の小国、モンテネグロのスルジャン・ダルマノビッチ外相が現れた。昼食会でもてなした関西財界の関係者によると、投票を働きかけられた外相はこう返したという。

 「港湾のインフラ整備で、アゼルバイジャンから資金を出してもらう話がある」。産油国のアゼルバイジャンからの経済支援の見返りに、同国への支持を表明したのだ。

 「こんなこと言ったら身もふたもないかもしれないが、テーマに関わらず、貿易やODA(途上国援助)で日本を信頼しているという国が、応援してくれる傾向にある」。大阪市の吉村洋文市長は10月の定例記者会見でこう述べた。

 今年夏に来日した中央アジア・キルギスの政府代表は、投票前日の取材に「日本の大企業にキルギスに進出してほしいと伝えたが、応じてもらえるだろうか」と期待をのぞかせた。

 激しい誘致競争に向け、関西経済連合会はBIE加盟国を回る特使を送り出した。松本正義会長の出身企業の住友電気工業と、住友商事から、海外駐在の経験豊富な2人を選抜。外務省から誘致担当特使の委嘱を受け、「今年に入って地球8周分の距離を移動した」(関経連幹部)。

 さらに誘致委は、海外50カ国にいる大手商社の現地幹部ら68人をエグゼクティブ・アドバイザーに任命。「日系企業の現地での雇用や生産活動への貢献をアピールした」(関経連の松本正義会長)。ただ、他国に動向を知られないように、相手国や協力企業の名前は明らかにしていない。

 投票前日、中米カリブ海の島国…

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