[PR]

(24日、フィギュアスケート・フランス杯女子フリー)

 紀平梨花(関大ク)はこの日、朝の公式練習は「完璧な状態」と語るほどの絶好調。ところが、夜の試合まで約9時間の間に調子は急降下した。シニアデビュー1年目。知らないうちに重なった疲労や国際大会の緊張、不安がフリーを前に噴き出た形だった。

 本番の冒頭。3回転半(トリプルアクセル)ジャンプの着氷が乱れ、右手を氷についた。足が動かず、女子屈指の大技を決められない。回転不足の判定を受け、出来栄え点(GOE)はマイナス評価だ。とはいえ、「あれが精いっぱいでした」。

 だが、ここから16歳の高校1年生は本領を発揮する。直後、再び予定していた3回転半を、その場の判断で2回転半に変更した。「『絶対に跳ばないと』とは思わず、冷静に判断できた。今できる限りの演技をしようと思って」

 スピンとステップでレベルの取りこぼしはあったものの、無難にまとめて優勝。見守った浜田美栄コーチは「底力がだいぶついてきて、悪いなりにもできるようになってきた。少しお姉さんになったかな」。不本意な内容でも優勝してしまうところに地力の高さがのぞく。

 グランプリ(GP)シリーズ参戦1年目で2戦2勝は日本女子初。ただ、それはゴールではない。紀平は言う。「スケートに人生をかけている。1位でうれしい気持ちは特にない。本番はGPファイナル。実力を全部出して完璧な演技を」。12月、GPファイナル制覇を狙ってカナダ・バンクーバーに乗り込む。(吉永岳央)