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 九州山地の中央部、宮崎県高千穂町にある民家で、この家に住む飯干保生さん(72)の家族ら6人の遺体が見つかった。町内の川ではもう1人が死亡していた。「何が起きたのか」。山深い小さな集落で起きた惨劇に、住民らは驚きを隠さない。

住民は絶句

 民家には小学2年生の唯さん(7)も暮らしていた。唯さんが通っていた押方小学校(児童数46人)の谷正勝教頭によると、2年生は5人全員が女子。仲の良いクラスだという。

 昼前ごろに警察から「そちらの学校の児童ですか」と問い合わせを受けた。登校時間の午前8時10分を過ぎても来なかったため、担任が保護者に連絡したが、つながらなかったという。

 谷教頭は「全く何の情報もない。今は亡くなったのが、その子でないことを願っている」と話した。

 飯干さんの近所の女性は、唯さんについて「活発だが、初対面の人にはシャイな子。私の孫が来た時に、遊び相手になってくれた。事件に巻き込まれたとしたら、あまりにかわいそう」と語った。

 また、隣の集落に住む70代主婦は「殺人事件なんて聞いたこともないのに、7人も亡くなるなんて」と絶句。「小学2年生の孫まで犠牲になったと思ったら、涙が出ます」と語った。

親族「トラブル心当たりない」

 「実家に電話をしたが、連絡がつかない」

 事件の一報は26日午前10時20分。飯干さんの親族からの通報だった。駆けつけた警察官が、民家の室内や敷地で倒れている6人を発見。県警は、遺体に外傷があったことなどから、殺人事件として捜査を始めた。

 県警は27日未明までに、民家に住む飯干さんと妻の実穂子さん(66)、次男の昌大さん(42)の妻の美紀子さん(41)、昌大さんの長男の拓海さん(21)、長女の唯(ゆい)さん(7)の身元を確認したと発表した。この家には、昌大さんも暮らしていたという。

 近くに住む飯干さんの親族は、車で帰宅中の午後3時ごろ、道路を規制中の警察官に止められた。「事故か何かあったんですか」と尋ねたが、警察官からは「今は言えることはない」と告げられた。

 迂回(うかい)して帰宅後、飯干さん宅にブルーシートが張られているのを見た。ネットニュースを読んだ娘から連絡を受け、事件を知ったという。「トラブルの話はまったく心当たりがない。何があったのか、ただただびっくりした」と語った。

 「高千穂署管内で殺人事件が発生しています。警察では犯人検挙に向け、現在捜査中です」「万一に備えて、無用の外出をひかえ、自宅等の鍵掛けを徹底してください」――。高千穂町は午後4時ごろ、防災無線で警戒を呼びかけた。

 近くに住む男性は、防災無線で事件を知った。「今朝、見慣れない軽トラックが保生さんの家に止まっていて、誰か来ている様子だった。普通の家族に見えたので、信じられない」

 高千穂町教育委員会は26日午後5時から、町内の小中学校全8校の校長を集めた臨時校長会を開いて対応を協議。27日は通常通りに登下校させるが、可能なら保護者が送迎し、できない場合は集団登下校を徹底することを確認。教師が通学路で見守ることにした。

 民家から約2・5キロ離れた「道の駅高千穂」近くの駐車場では26日午後、昌大さんが使っていた軽自動車が見つかり、近くの川で昌大さんとみられる遺体が発見された。