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 英医学誌ランセットは11月29日、地球温暖化による健康影響を調べるプロジェクト「ランセット・カウントダウン」の2018年版報告書を発表した。17年に熱波にさらされた人は、00年に比べて世界で約1億5700万人増えたなどと推計、深刻なリスクだと改めて指摘した。

 プロジェクトは、世界保健機関(WHO)や世界銀行などと協力し、16~30年に毎年、温暖化による健康影響を追跡してまとめる。18年の報告書では、その地域の平均を大きく上回る高温が続く熱波にさらされた人が、16年より1800万人増加。熱波の影響で屋外作業などができず、1530億時間の労働時間が失われたと試算した。中国だけで1年間で労働人口の1・4%、インドでは同7%が働けなかったのと同じ損失があったとした。

 また、熱波を含む異常気象は、17年に世界で712件発生し、3260億ドルの経済損失につながったとも指摘した。16年の損失の約3倍で、主にインフラが整備されている先進国での大型台風などの気象災害が押し上げた。先進国では損失の約半分は補償されたが、低所得国では99%が補償されないままだという。

 報告書は、温暖化を放置すれば、やがて健康を守る社会システムが破壊されるとして、早急に温室効果ガス削減に取り組むよう促した。プロジェクトのヒュー・モンゴメリー共同議長は「酷暑の危険性は、世界中の全ての人にとって受け入れがたいほど高まっている」と警告している。(小坪遊