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【アピタル+】患者を生きる・松本明子と便秘(便秘の改善策)

 若い女性や高齢者を中心に、便秘に悩んでいる人は少なくありません。ただ、人に相談できなかったり、病気だとは思わず病院に行かなかったりする人もいます。横浜市立大の中島淳主任教授(59)に便秘をどう改善していくのがいいか聞きました。

便秘症
便秘は病気だ。自発的な排便が週に3回未満だったり、4回の排便のうち1回以上で強くいきんだりするなど6項目のうち、二つ以上あてはまると「便秘症」と診断される。ただ、2017年にできた診療指針では、この基準を満たさなくても、「糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」で生活に支障があれば、治療するのが望ましいとしている。

――便秘を病気と捉えていない人も多いと聞きます。

 「私は便秘です」と言うのは恥ずかしく、悩んでいる人は多いです。女性ホルモンが大腸の動きをゆっくりにするので、全体的に女性に多く見られます。ただ、年を取ると腸の動きがゆっくりになるので60歳を超えるころから男女差は少なくなっていきます。排便のときに力むと血圧がぐんと上がるので、体に負担がかかって倒れてしまうこともあります。スムーズに排便することは特に高齢者にとって大切です。トイレで排便するのは10秒、20秒の世界です。1分以上力んだり、長い時間こもったりしてはいけません。

――なぜ力まないと排便できないのでしょう。

 便は、バナナ状のときは8割は水分です。ただ、便意を我慢して腸にためてしまうと水分だけが吸収されて、小さくなって硬くなってしまいます。硬い便を出すために、おしりの穴に指を入れてかき出している人もいます。ただ、お尻の穴は非常に繊細ですから、かき出すときに傷つけてしまうと、おならが出るのか便意なのかわからなくなってしまう人もいます。

――便秘になると、他にどのような影響がありますか。

 いつ便意がくるかわからないので外出したくなくなります。食欲も落ち、栄養バランスが悪くなることもあります。

――普段の生活でできる改善策はありますか。

 まずは食事です。食物繊維は1日20グラムほど取って下さい。目安はキャベツ1玉ですが、それを食べるのは大変なので3食に分けたり、煮たり焼いたりして小さくするといいです。乳製品や納豆などの発酵食品もとって下さい。便が硬くなると出にくくなるので、水分をとることも大切です。

 基本的なことですが、トイレに行くことも重要です。例えば、朝トイレに行きたいと思っても、「会社に行く時間だから」と我慢する人もいます。でもそれに慣れてしまうと良くないので、まずは行く習慣をつけて下さい。

――薬とはどう付き合ったら良いのでしょうか。

 下剤には、酸化マグネシウムなど、便に水分を含ませて出しやすくする緩下剤(かんげざい)と、腸の動きを刺激する刺激性下剤があります。刺激性下剤は、習慣性と依存性があるため長く使うのは避けた方がいいでしょう。中には毎日のみ続ける人もいますが、のむ量が増えていき頼らないと排便できなくなってしまう場合もあります。大腸の動きが鈍くなっていくので、何年ものみ続けた結果、機能が落ちて大腸を全摘した人もいます。

――どのような治療法があるのでしょうか。

写真・図版

 薬を使って排便時間をコントロールしながら改善していくやり方があります。最近では、下剤をのんでから5時間後に便意がくる薬もあります。例えば、朝にのんでおくと昼食を食べ終えたころにトイレに行きたくなる、という具合です。このようにして排便のリズムを整えていきます。

便秘に悩む人の割合
便秘に悩む人は多い。2016年の国民生活基礎調査によると、便秘の人は女性の22人に1人、男性で40人に1人だった。女性は若いうちから多く、高齢になると男女とも増える。

 ◇ご意見・体験は、氏名と連絡先を明記のうえ、iryo-k@asahi.comメールするへお寄せください。

<アピタル:患者を生きる・食べる>http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/(聞き手・戸田政考)