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 トランプ米大統領は11月29日、予定していたロシアのプーチン大統領との会談を土壇場でキャンセルした。ロシアによるウクライナ艦船への発砲や拿捕(だほ)に国際的非難が集まるなか、これまでのように融和姿勢で会談に臨めば批判が高まるのは必至だったため、回避した形だ。その結果、世界が注目する核戦力をめぐる両国の対話も宙に浮いた。(ブエノスアイレス=杉山正、喜田尚)

 「会談キャンセルはすべての関係者にとって最善であると判断した」

 トランプ氏はアルゼンチンに向かう大統領専用機から突如、米ロ会談の中止をツイッターで表明した。その約1時間前に専用機に乗る直前、「おそらく会うだろう」と記者団に語ったばかりだった。

 首脳会談はアルゼンチンでの20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせて12月1日午前に予定されていた。トランプ氏が理由に挙げたのが、11月25日にウクライナ南部クリミア東部のケルチ海峡で発生した事件だ。ロシア国境警備隊がウクライナ海軍の艦船3隻に発砲し、乗組員24人が拘束された。トランプ氏は「艦船、乗組員が戻されていない」とつづった。

 ロシアは2014年、軍事力を背景に一方的にクリミア半島を併合し、これにより米欧が制裁を科し、主要8カ国(G8)から排除された経緯がある。今回の拿捕事件で、国際社会からのロシア批判は最高潮に達している。

 会談中止は、ケリー大統領首席補佐官やポンペオ国務長官、ボルトン大統領補佐官ら側近と協議して決まった。米政府高官や議会の大半はロシアに極めて厳しい態度だが、トランプ氏は「ロシアと仲良くするのは良いこと」が持論。それでもトランプ氏が会談でこの問題を不問にすることは困難で、ロシアへ強い姿勢を示す圧力が米国内外から強まっていた。従来の融和姿勢で臨めば、トランプ氏への「弱腰」批判は一層強まる状況だった。

 トランプ氏は今回の拿捕事件にはこれまでほぼ沈黙してきた。11月27日のワシントン・ポスト紙のインタビューで「(ロシアによる)その攻撃は好きではない」と話すにとどまっている。

 今年7月にヘルシンキでプーチン氏と会談した後の会見でもクリミア問題でのロシア批判を避けた。さらに、米大統領選へのロシアの介入問題に「(プーチン氏が)やっていないと言っている。ロシアがやる理由が見当たらない」とまで言った。米国内で大きな批判を浴び、トランプ氏としては異例の発言修正を余儀なくされている。

 また、11月の中間選挙にもロシアが介入したとされるほか、折しも11月29日にはトランプ氏の元個人弁護士のマイケル・コーエン氏が司法取引に応じ、マラー特別検察官に協力していたことが判明。コーエン氏は大統領選の間にもトランプ氏がモスクワでの「トランプタワー」建設計画を継続していたと説明した。

 ウクライナ問題に加え、ロシア疑惑捜査の進展で、もはや首脳会談でプーチン氏との「蜜月」を図りながら「成果」を強調することは難しい状況になった。会談をすれば、ロシア疑惑に注目を集中させることにもなる。

 トランプ氏としてはプーチン氏との対決を避け、ボルトン氏ら側近としてはヘルシンキの失敗の繰り返しを避ける狙いが透ける。

 民主党のメネンデス上院議員は「トランプ氏は米国の価値観や国際法ルールのために立ち上がる機会があったのに、放棄した」とし、会談中止でプーチン氏に異議を唱えることを避けたと批判した。「皮肉なことにトランプ氏はプーチン氏と対立しようとしない一方、世界中の米国の同盟国には挑戦している」と語った。

■核戦力問題は…

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