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 2018年度の朝日スポーツ賞が決まった。テニスの全米オープンで優勝し、日本勢で初めて4大大会シングルス制覇を成し遂げた大坂なおみ選手(日清食品)と、視覚障害者と健常者が協力してプレーする競技の特徴を生かし、普及活動を通して「共生社会」への理解を促進する日本ブラインドサッカー協会(塩嶋史郎理事長)が選ばれた。

21歳、まだまだ膨らむ期待

 ドラマに満ちた偉業達成だった。日本人の母とハイチ出身の父らとともに、3歳で移り住んだニューヨーク。その地で、あこがれの存在だった元世界女王のセリーナ・ウィリアムズ(米国)を翻弄(ほんろう)した。

 「誰もがセリーナを応援していたのは知っています。こんな終わり方になってしまい、すみません。ただ、試合を見に来てくれてありがとう」。ウィリアムズに警告を与えた判定に対し、観客の大ブーイングが注ぐ中、涙ながらにスピーチする姿は感動を呼んだ。

 4大大会のシングルスは、パワーで勝る欧米勢優位の舞台。そこに現れたのが、時速200キロ超の弾丸サーブを繰り出す新星だ。世界の注目を集めるまでに時間はかからなかった。全米オープン優勝後も活躍はとどまらず、世界ランクは一時、4位に浮上。年間成績の上位者8人によるシーズン最終戦にも出場した。

 まだ、21歳。「4大大会でもっと勝ちたいし、世界1位になりたい」。自信あふれる言葉に、ファンの期待は膨らむばかりだ。(富山正浩)

障害への理解、広めた

 「『足を出して』ではなく『右足を2歩分前に』の方がわかりやすいよ」。目隠しをした子どもに目の見えない選手が語りかける。日本ブラインドサッカー協会が小中学生を対象に進める「スポ育」の一コマだ。

 障害への理解、コミュニケーションの大切さを広める体験型授業は2010年9月に始まり、今年3月までに11万5430人が参加した。企業研修は274回実施された。

 10年ほど前、こうした活動への需要は皆無だった。「ただ体験させるだけの中身だったから」と松崎英吾専務理事。ある教師に「それでは教育的価値がない」と言われ気づいた。目の見えるゴールキーパーが声で選手を助ける競技本来の特徴に立ち返り、相手に伝わる言葉づかいなどに主眼を移した。障害者スポーツ団体でいち早く、障害者と健常者が「混ざり合う社会」というビジョンを掲げた。

 20年東京パラリンピックの先を見すえた姿勢も際立つ。有料試合の実施など、助成金に頼らない持続的な組織運営をめざしている。(中川文如)