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 初来日となる「叫び」など約100点を紹介する「ムンク展―共鳴する魂の叫び」が東京・上野の東京都美術館で開催中です。25日に開かれる「こどものための鑑賞会」は、子どもと一緒にゆっくりと有名絵画に対面する絶好の機会。「叫び」にまつわるエピソードや、子どもと鑑賞する際のポイントを、担当学芸員の小林明子さんに聞きました。

 ――「叫び」と言えば「あのポーズ」ですが、そもそもこの人は誰ですか?

 誰なんでしょうね。正確なことはムンク自身も語っていないので……。ただ、あえて誰かわからないようにしているのだとも言えます。もしかしたらムンク自身かもしれませんし、違うかもしれない。見る人が自分を投影しやすいような「誰か」として描かれているのではないでしょうか。

 ――「叫び」というタイトルの由来は?

 ムンク自身は「自然をつらぬく叫びを聞いた」と語っています。ムンクだけに聞こえた「叫び」を描いたのでしょう。「叫び」とは「不安」の言い換えなのかもしれません。不安って誰しもが感じるものですよね。ムンクがこの絵に描きたかったような不安な気持ちは、誰でも想像できるのではないでしょうか。皆さんの心の中にあるそんな普遍的な気持ちを投影できる絵なのだと思います。

 ――「叫び」をよく見てみると、この人物は口を大きく開けているようで、この人物自身が叫んでいるようにも見えます。

 声を出して叫んでいるのか、それはわかりません。口を開けているから叫んでいるのかもしれないし、いないかもしれない。ムンク自身も語っていません。想像力を膨らませるのがよいと思います。

 ――「叫び」は人も背景もうねうねとした筆致で描かれています。何か狙いがあるのでしょうか。

 人物や背景が溶け合っているように見えますよね。人物と世界が共鳴し合うように描くために、曲線が利用されています。自然の叫びと人とが混ざり合って、一体となるような表現になっています。

 ――そんな「叫び」を子どもと鑑賞するときのポイントは?

 「叫び」は想像の余地がある作品です。細かい説明よりも、「この人、何をしているんだろう」と、想像を膨らませながら鑑賞するのがよいのではないでしょうか。

 ――展示作品には、ムンクの自画像や「自撮り」したようなセルフポートレートもありますね。

 こんなに自画像をいっぱい描く人も珍しいと思います。相当ナルシスティックな人だったのでしょう。

 ――版画も多く展示されていますし、油絵の色使いも多彩です。全部同じ人が描いたの?と思ってしまうくらいです。

 ムンクに限らず、画家の画風は変わるものです。ムンクも彼自身の心の変化に応じて刻々と作風が変化しています。ムンクは様々な技法を試し、非常に多くの作品を製作しました。色彩と技法を追求した人だったんです。

 ――女性をテーマにした作品もたくさんあります。

 ムンクは女性に対して複雑な思いを抱いていたのだと思います。色々な女性と出会っている一方で、幼いころに母と姉を亡くしています。そうした経験から、ムンクの描く女性像には魅力的な妖艶(ようえん)さがありつつも、どこか恐ろしい感じもするといった二面性があると思います。

 ――骸骨のように見える人物が描かれているなど、少し「怖い」と感じる絵もあります。そうした作品を子どもと鑑賞する時は、どうしたらよいのでしょう。

 「ちょっと怖い」「なんか普通じゃない」と感じてもらうことができれば、それだけで良いと思います。子どもはそうした部分について、より敏感なのではないでしょうか。つい目をそむけたくなるような人間の部分と向きあったのがムンク。彼のテーマは常に人間で、その普遍的な部分を描いている。そのため彼の作品は、現代の我々にも身近に感じられます。

 何も知らなくても、そこから何かを感じられる作品たちを、ぜひ子どもたちに見てほしいですね。

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 こどものための鑑賞会

【開催日時】2018年12月25日(火・休館日)午前9時30分~午後4時(最終入場は午後3時30分)

【会場】東京都美術館企画展示室

※事前申し込み不要。大学生・専門学校生以上の保護者は本展の観覧券(招待券・前売り券も可、半券不可)が必要。当日券販売あり。高校生以下は無料(学生は要証明)。

※高校生以上のみ(こどもの同伴なし)での鑑賞不可。

※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付き添いの方(1人まで)は無料。

※館内の飲食施設は2Fレストランミューズのみ営業。

※午前中は特に混雑が予想されます。

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 ムンク展―共鳴する魂の叫び

 2019年1月20日(日)まで、東京・上野の東京都美術館企画展示室。午前9時30分~午後5時30分(金曜は午後8時まで)。入室は閉室の30分前まで。月曜および12月25日(火)、1月1日(火・祝)、15日(火)は休室(ただし12月24日、1月14日は開室)。一般1600円など。展覧会公式サイト(https://munch2018.jp別ウインドウで開きます)。問い合わせはハローダイヤル(03・5777・8600)。

主催 東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、朝日新聞社、テレビ朝日、BS朝日

後援 ノルウェー大使館

協賛 アトレ、鹿島建設、コーセー、ショップチャンネル、セコム、ソニーマーケティング、東レ、凸版印刷

制作協力 P.I.C.S.、博報堂DYメディアパートナーズ

協力 日本航空、フィンエアー