今年の流行語大賞は「そだねー」 尾畠さんは受賞者辞退
今年の世相を反映した言葉を選ぶ「2018ユーキャン新語・流行語大賞」(「現代用語の基礎知識」選)が3日、発表された。年間大賞には、平昌五輪で銅メダルを獲得したカーリング女子日本代表チームが試合中に話していた「そだねー」が選ばれた。
トップ10には、サッカーW杯ロシア大会で日本代表の16強進出に貢献したFW大迫勇也選手を称賛する「(大迫)半端ないって」、日本ボクシング連盟の不祥事をめぐる「奈良判定」、テレビ朝日の人気ドラマ「おっさんずラブ」などが選ばれた。山口県周防大島町で行方不明だった2歳児を無事に保護し、全国各地の被災地で活躍する尾畠春夫さんに付けられた「スーパーボランティア」もトップ10に入ったが、受賞者辞退となった。(加藤勇介)
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◆「2018新語・流行語大賞」トップ10と解説
【年間大賞】そだねー
・受賞者 ロコ・ソラーレ
平昌五輪で銅メダル獲得のカーリング女子日本代表チームが使用した言葉。「不寛容な時代といわれSNSでの反応を過剰に気にして疲弊する昨今、トップアスリートから発せられるのんびりとしたやりとりはほっとするひと時をもたらしてくれた」と評された。「もぐもぐタイム」もノミネート30語入り。
【トップ10】(50音順)
eスポーツ
・受賞者 一般社団法人日本eスポーツ連合
エレクトロニックスポーツの略で、対戦型のコンピューターゲームを実際のスポーツ競技のように行うこと。プロ野球やJリーグなど実際のスポーツ団体も参入している。
(大迫)半端ないって
・受賞者辞退
サッカーW杯ロシア大会で活躍した大迫勇也選手を称賛する言葉。もとは、全国高校サッカー選手権で大迫選手がいた鹿児島城西高校に敗れた対戦相手校の選手が大迫選手について話した際の表現。「悔しさで涙しながらも、大迫選手の秀でた技術力とパフォーマンスを的確に表現し、敬意にあふれたこの言葉には、サッカーファンでなくても納得させられた」
おっさんずラブ
・受賞者 テレビ朝日ドラマ制作部「おっさんずラブ」チーム
田中圭さん、吉田鋼太郎さん、林遣都さんらが出演した深夜ドラマ。「おっさん」同士の純愛を描き、熱烈なファンが多数出現した。
ご飯論法
・受賞者 上西充子(法政大教授)、紙屋高雪(ブロガー・マンガ評論家)
「朝ご飯を食べましたか」という質問に、パンは食べたけど米のご飯は食べていないので「食べていない」と答えるような論点をずらす話し方。裁量労働制に関する国会審議での、加藤勝信・前厚生労働相ののらりくらりとした答弁を指して広まった。
災害級の暑さ
・受賞者 気象庁
7月に埼玉県熊谷市で41・1度と国内の観測史上最高を約5年ぶりに更新するなど今夏は記録的な猛暑に見舞われた。気象庁は会見で「命の危険がある暑さ。一つの災害と認識している」などと説明。「国民の暑さに対する心構えを変えた」と評された。
スーパーボランティア
・受賞者辞退
8月に山口県周防大島町で行方不明だった2歳児を、68時間ぶりに保護した78歳の尾畠春夫さんをさす言葉。「『人生100年時代』の大号令で働き方・生き方の転換を迫られている昨今、独立独歩で社会をつくり、社会で生きる尾畠さんの輝きは、中高年のみならず老若男女に新時代の生きるヒントを与えてくれた」
奈良判定
・受賞者なし
日本ボクシング連盟にまつわる不祥事の中で、辞任した連盟前会長ゆかりの奈良県の選手を審判が優遇していた疑惑が明るみに出た。「暴力的な体質と忖度(そんたく)を合わせたスポーツ界の時代錯誤的な部分を象徴することばとして『いや~な』印象を残した」
ボーっと生きてんじゃねーよ!
・受賞者 チコちゃん
NHKの番組「チコちゃんに叱られる」に出てくる、CGで描かれる5歳の女の子「チコちゃん」の決めゼリフ。「5歳というと『なぜ?』『どうして?』といちいち質問してくるお年頃。そんな子どもにきちんと正しく説明できたことがこれまであっただろうか。ごまかし続けてきた大人の怠慢を正すべく、チコちゃんは5歳児代表として素朴な疑問をぶっつけ、浅い回答でお茶をにごそうとする大人に喝(かつ)を入れるのだ」
#MeToo
・受賞者 私も#MeTooと声を上げた全ての人
米国で映画界の大物プロデューサーのセクハラ疑惑が報道されたのをきっかけに、SNS上などで「#MeToo」を合言葉に性被害を告発する女性が続々と現れ、世界に広がった。日本では、財務次官による女性記者へのセクハラ問題で麻生副総理が「セクハラ罪という罪はない」と発言。政府は閣議で「セクシュアルハラスメントとして処罰する旨を規定した刑罰法令は存在しない」との答弁書を決定した。「まだまだ日本で『#MeToo』の壁は厚い」
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