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 東海地方で、大学発のベンチャー企業を育てる機運が高まってきた。大企業志向の強い土地柄だが、現状に危機感を抱いた大学と企業が協力し、取り組みを加速させている。

「名古屋の活力がなくなる」

 なぜ優秀な人材が流出し、戻ってこないのか。来年で創業350年を迎える商社、岡谷鋼機の岡谷篤一社長(74)は長年、頭を抱えてきた。「このままでは名古屋の活力がなくなる。大学発の起業を応援しないと、地域もダメになる」

 産学がビジネスを掘り起こし、地元に人材を根付かせる必要がある。そう考えた岡谷鋼機は2016年、東海5大学がつくったファンドに1億円を出した。名古屋大、岐阜大、豊橋技術科学大、名古屋工業大、三重大の5大学。大学発のベンチャー企業に民間企業がお金を出す基金の先駆けだ。「リターンを求めるよりは寄付に近い」と岡谷氏は控えめだが、基金には17社が計25億円を拠出し、支援の輪が広がってきた。

旧帝大「最下位」名古屋大に衝撃

 「こんな順位なのか」。名大関係者に2年前、衝撃が走った。15年度、経済産業省がまとめた大学別のベンチャー創出数で、名大は全国14位(33社)に落ち込んだ。首位の東京大(189社)に水をあけられ、旧帝大で最下位だった。東海の学生は保守的で、ベンチャーより大企業を選ぶ傾向が強いためとされる。

 それが17年度は7位(69社)に順位を上げた。名古屋工業大も15年度の21位(21社)から17年度は19位(27社)に。背景には、東海の国公立大学が協力し、企業の力を借りて大学発ベンチャーの育成に取り組んできたことがある。東海5大学のファンドもその一つ。集まったお金で、情報通信や医療などのベンチャー16社に約15億円を投じ、底上げを図っている。

 名大は16年、起業家の育成講座「Tongali(とんがり) School」を開いた。起業家の講演会や、ビジネスプランの作成・検討も手がける。担当の河野廉教授は「この地域はノーベル賞受賞者も多く、基礎研究に定評はある。ちょっと仕掛ければ大きく変わる」と期待を込める。

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