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 食物アレルギーを抱える人が増えていると言われています。アレルギーが起こる仕組みや予防について、国立成育医療研究センター・アレルギーセンター長の大矢幸弘さんに聞きました。

食物アレルギーって何?

 Q 食物アレルギーとは、どんな症状ですか。

 A 本来は体を異物から守る免疫が、特定の食べ物によって体に不利益に働くことをいいます。じんましんや皮膚のかゆみ、嘔吐(おうと)や下痢、呼吸困難など、人によって様々な症状が出ます。重症の場合、意識を失ったり、血圧が低下したりする「アナフィラキシーショック」を起こすことがあります。

 Q 原因となる食べ物は。

 卵、牛乳、小麦は「3大アレルゲン(アレルギーを起こすたんぱく質のこと)」と呼ばれ、乳幼児期の患者の多くを占めています。ほかに、ピーナツや果物、魚類、甲殻類など様々な食物が原因となります。

 Q どれくらい患者がいるのですか。

 A 乳児では10%くらいが何らかの食物アレルギーを抱えていると言われています。成長とともに耐性がつくことも多く、年齢が上がると患者も減っていきます。ただ、全体としては増加傾向と言えます。

 Q どのような仕組みでアレルギーが引き起こされるのですか。

 A 食物アレルギーの多くは、食べてすぐに症状が起きる「即時型」です。アレルゲンが含まれる食べ物を体に取り込むと、そのアレルゲンにだけ結合することができる免疫グロブリンE(IgE)抗体が作られる場合があります。そこにさらにアレルゲンが入ってくると、IgE抗体と結びついて、刺激物質のヒスタミンや体に有害な物質を放出するメカニズムが働きます。それらの物質によってアレルギー反応が起こるのです。

診断や検査は?

 Q どのように診断しますか。

 A 特定の食べ物で繰り返し症状が出るという場合に、食物アレルギーを疑います。血液検査でIgE抗体の値などを調べたり、皮膚にアレルゲンを垂らしてどのような反応があるかを調べたりしていきます。

 ここで注意してほしいのが、血液検査で陽性だったからといって、すべての人がその食べ物を除去しなければいけないというわけではないことです。

 IgE抗体の数値が高くても、実際に食べた時に症状が出ないこともあります。除去をしていれば、その食べ物から得られる栄養が取れないということですから、必要がないのにすべきではありません。

 Q どうすれば何を食べられるかどうかがわかりますか。

 A 食物経口負荷試験という方法があります。食物アレルギーの診断や治療の中で最も大切な検査です。専門の医師のいる医療機関で、原因となる食べ物の量を測定したうえで食べさせて、症状が出るかどうかを調べます。

 血液検査で反応したものを除去していくという治療だと、不必要な除去が増えてしまうので、今はこの経口負荷試験によって正確な診断をして、食べられないものと、食べられるものはその量をきちんと知ることが大切だと考えられるようになりました。

予防できる?

 Q 妊娠中や授乳中に卵などを避けると、子どもがアレルギーにならないのですか。

 A かつてそう考えられていたことがありますが、アレルギーの予防につながらないことがわかっています。今でも妊娠中や授乳中に自己判断で卵や小麦を避ける人がいますが、母親の健康を考えてもお勧めできません。

 Q 離乳食の開始時期と関係はありますか。遅く始めた方が良いのですか。

 A それも間違いです。離乳食が始められる生後5~6カ月ごろになったら、卵なども少量ずつ食べさせたほうが予防効果が高いのです。むしろ遅らせることで、食物アレルギーの発症リスクが高まることがわかってきました。

 Q 肌荒れとは関係があるのですか。

 A 食物アレルギーは、皮膚のバリアー機能と関わりがあることがわかってきました。炎症を起こしている皮膚に、ほこりなどに含まれる食べ物が付着し、体に入ると、IgE抗体が作られてアレルギー反応を起こすリスクが高まります。ですから、赤ちゃんの時から保湿剤をしっかり塗って肌の炎症を防ぐことが、食物アレルギーの予防にもつながる可能性があると考えられています。

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http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(松本千聖)