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 バスケットボールの第71回全国高校選手権(ソフトバンクウインターカップ)が23日、東京都調布市の武蔵野の森総合スポーツプラザで開幕する。今秋に日本選手2人目の米プロ、NBA出場を果たしたグリズリーズの渡辺雄太(24)に、大会の思い出を語ってもらった。

下馬評低かったが…

 「自分にとって、ウインターカップは尽誠学園としてどれだけできるか集大成を見せる場であり、成長する場としても最高の舞台でした」

 主に下部リーグ(Gリーグ)のハッスルに所属しながら45日間までNBA登録ができるツーウェー契約をグリズリーズと結ぶ渡辺雄太にとって、地元の香川・尽誠学園時代に出場したこの大会は、まさに飛躍のきっかけとなった。

 「振り返っても、正直本当にバスケしかやってこなかったなぁと(笑)。昔から負けず嫌いですが、とにかく尽誠学園の一員として全国の強豪校を倒せるようになりたくて。バスケ漬けの日々を送っていました」

 中学までは県選抜の試合にもほとんど出られない「無名選手」。高校入学時の身長も約180センチと決して大きくなかった。しかも尽誠学園は県内一の強豪校。周囲の選手に追いつくのに必死だったという。

 そんな渡辺が忘れられないというのが、2年時に出場した2011年の2回戦だ。それまで尽誠学園の歴代最高成績は10年の3回戦進出。11年は4年連続準優勝中で、夏の全国高校総体(インターハイ)でも2位だった福岡第一と対戦した。

 「下馬評が低かった尽誠学園が、福岡第一を破って勢いにのった試合は印象に残っています」

 身長が192センチまで伸びていた渡辺が、29得点、10リバウンドの活躍。渡辺を生かしたゾーンディフェンスで前半を同点で折り返すと、第3クオーターに渡辺がブロックして生まれた笠井康平(当時3年、現B1名古屋D)の速攻で勝ち越し、そのまま逃げ切った。この勢いで準優勝を果たした。

 「頼もしい先輩のもと、伸び伸びプレーさせてもらいました。福岡第一戦は、チームとして勝負に徹し、自分自身もチームも大きく成長できた試合だったと思います」

「どんな試合も自分次第」

 最上級生となった12年は、ポイントガードもこなせるオールラウンダーとしてますます存在感を発揮した。決勝で延岡学園(宮崎)と2年連続で対戦。前年は55―88で完敗した相手に66―68まで肉薄した。

 「最上級生でも同じ準優勝という結果で本当に悔しかったんですが、接戦に持ち込めたことは自信になりました。下級生に『つなぐ』という意味で、2年の時とは全く違う経験もできたと思っています」

 尽誠学園は渡辺の卒業後も連続出場を継続中だ。渡辺は、母校を含め高校バスケットの話題を今もチェックしているという。

 渡辺は、高校生にこうエールを送る。

 「どんな試合も自分次第で成長のチャンスになります。3年生にとっては最後の舞台。全力を出し切って思う存分プレーしてほしいですし、その姿を下級生も必死で追っかけてほしいです。そして、結果にかかわらず、皆が笑顔で終わってほしいですね」

     ◇

 わたなべ・ゆうた 1994年生まれ、香川県出身。尽誠学園高2、3年時に全国高校選抜優勝大会(現・全国高校選手権)で準優勝、大会ベスト5。卒業後に米国へ渡り、大学進学の準備をするプレップスクールを経て全米大学体育協会(NCAA)1部のジョージ・ワシントン大へ。4年時にアトランティック10カンファレンス所属リーグの最優秀守備選手に選出された。今年7月、米プロバスケットボール協会(NBA)の登竜門といわれるサマーリーグにネッツの一員として参加。その後グリズリーズと主に下部リーグ(Gリーグ)に所属しながら45日間までNBA登録ができるツーウェー契約を結んだ。10月27日のサンズ戦で、日本選手では2004年の田臥勇太(当時サンズ、現B1栃木)以来のNBA出場を果たし、2得点を挙げた。身長206センチ。