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 創業230年を超す製薬大手の老舗、武田薬品工業が、日本企業で過去最大規模のM&A(企業合併・買収)へと踏み出す。5日に大阪市で開いた臨時株主総会で、アイルランドの製薬大手シャイアーを約7兆円で買収する提案が可決され、クリストフ・ウェバー社長率いる武田の経営陣は巨額買収に向けて大きなハードルを超えた。

 買収先のシャイアーも5日(日本時間同日夜)に臨時株主総会を開き、買収への賛否を問う。シャイアーの株主にも提案が承認されれば、ウェバー氏が放った渾身(こんしん)の一手が実現し、武田は年明けにも新薬開発競争にしのぎを削る「メガファーマ(巨大製薬会社)」の仲間入りをする。買収総額は、日本企業として過去最高額の約460億ポンド(約7兆円)。買収資金は、約3兆円の現金と約4兆円の新株発行でまかなう計画だ。

 製薬業界では近年、収益への貢献が大きい新薬の開発期間が長期化。自前で開発を続けるには投資負担が重くなっており、M&Aで高収益が見込める新薬候補の取り込みをはかる動きが活発になっている。武田も自前の開発にこだわらず、「時間を買う」戦略に打って出た。

 ウェバー氏はシャイアーの買収について、5月の朝日新聞のインタビューで「自信はある。私たちは非常に多様なチームで多くのM&Aを経験してきている」と強調。「変化に対応しなければ、競争力のない小さな会社になってしまう」と述べ、巨額買収の決断に理解を求めた。その成否が明らかになるのはこれからだ。

 血友病など希少疾患の治療薬に強みがあるシャイアーは多くの新薬候補を持ち、販売の承認待ちの製品も複数ある。武田はこれらの新薬候補を手中に収めることができる。国内製薬大手の幹部は「会社が大きくなれば、多くの資金を研究開発に回せる」と指摘。画期的な新薬開発への期待もふくらむ。

 ただ、財務悪化と背中合わせの買収にはリスクも伴う。買収資金を調達するための巨額の借り入れによって、有利子負債は5兆円超にのぼる見通しだ。

 ウェバー氏は財務的なリスクを…

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