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 なにくそ、という気持ちが人を強くする。今季60試合に登板し、中継ぎ投手として大車輪の活躍を見せた三嶋一輝(28)。6年目に飛躍できた理由を聞くと、こんな答えが返ってきた。

 「大きく期待されて、それを裏切ってきた。失敗を続けて、周囲の僕を見る目が変わってきているのも感じていた。見返してやろう、という思いだけで今年は腕を振っていました」

 法大では1年時に球速155キロを記録。東京六大学のベストナインに選ばれる活躍を残し、2012年のドラフト2位で入団した。斉藤明雄や盛田幸妃ら名投手がつけた背番号17を受け継ぎ、将来のエース候補として大きく期待された。

 2年目で開幕投手にばってきされたが、そのあたりから歯車が狂い出す。14、15、16年の3年間でわずか7勝。後から入った後輩たちに次々と追い抜かれた。

 16年に初めてベイスターズ担当になった時、私が感じた三嶋の印象は、どこか勝負弱い選手だった。投手と野手が連係して行う守備練習などは器用にこなす。キャンプで見るブルペンの球も力強い。ただ、試合になるともろかった。クールな顔がマウンドでゆがむたび、歯がゆい思いをした。

 昨季途中に中継ぎに配置転換され、これが輝きを取り戻すきっかけになった。先発時代は力をセーブしながら投げていたという。「常に100%で投げろ」という木塚投手コーチの助言が効いた。今季、かつてとは別人のような躍動感のあるフォームから繰り出すスピンのかかった直球に目を見張った。負担がかかる連投や回またぎも数多く、中継ぎながらチーム2番目となる7勝を積み上げた。

 「失敗だけで本が書ける」と先発時代を振り返る。早いイニングで降板し、何度も中継ぎ投手に助けられた。だからこそ、中継ぎになった今思う。「自分がカバーしてあげたい。先発は打たれて降板しても、最後にチームが勝てば少しは救われますから」

 入団2年目から大きく上がっていなかった年俸が、このオフは一気にアップした。「久しぶりに給料が上がった。嫁さんにおいしいものを食べさせてあげたい」。三嶋のサクセスストーリーは力強く動き始めた。(波戸健一)

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