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 財務省近畿財務局が、大阪府豊中市の国有地を森友学園(大阪市)に大幅値引きで売った問題が発覚して2年近くがたつ。一連の土地取引は本当に妥当と言えるのか、妥当ならなぜ財務省は公文書を改ざんしたのか、疑問はいまも残っている。近畿財務局の勤務経験がある人たちはこの問題をどう見ているのか。4人のOBが実名で取材に応じた。

 「森友問題がこのまま幕引きされるのではないかという危機感がある」と伊藤邦夫さん(76)が切り出した。4人は退職から2~15年たち、森友学園との土地取引には関わっていない。田中朋芳さん(62)は取材を受けた理由を「公務員は馬鹿正直に文書を大切にする。それなのに国会で財務省は『(学園との交渉記録が)ない』などと言い切って驚いた。近畿財務局の職員が亡くなり、大きな犠牲も出ているのに、誰もまともに責任を取っていない。このままではいけないと思った」と述べた。

 近畿財務局と森友学園との土地取引は2段階に分かれる。2015年の賃貸契約と、16年6月の売却契約だ。前者は、10年以内の売買を前提とする定期借地契約。これ自体が、本省理財局の承認が必要な「特例」の契約だった。

 安田滋さん(62)は「10年の定期借地というスキーム(手法)は、近畿財務局で考えたものではないと思う。本省が考えたのではないか」との見方を示した。喜多徹信さん(70)が説明する。「財務省の内規では、売却を前提とした賃貸は3年以内。財務局が内規から外れる処理を自ら本省に上げることは事実上、できない。裏を返せば、だれかに言わなければしない仕事だ」

 土地取引に政治家が関与してくることはあるのか。また、そのときはどう対処するのか。OBたちはこう打ち明けてくれた。

 「一般的に政治家からの照会や要請は、あることはある。そうした要請は、きちっと記録に残して本省と情報共有する。大切な、核心になるやり取りだと私どもは思っているからだ。近畿財務局に国会議員が来たことを本省に上げなければ叱られる。本省に直接国会議員から話があれば、財務局にも記録が来る。それは私たちの常識だ」(喜多さん)

 「そもそも陳情に来る人は、近畿財務局でらちが明かなければ本省に行くことも多い。同じ対応をするためには情報を共有していないといけない」(田中さん)

 そんなOBたちが一連の取引の中で注目するのが、初期の14年4月にあった森友学園と近畿財務局との打ち合わせだ。賃貸に向けた交渉が難航する中、籠池泰典・前理事長はこの日、ある行動を取る。「財務局の姿勢が変わる一番大事なところだ」と伊藤さんは言った。

 朝日新聞デジタルでは、一連の国有地取引や公文書改ざん、今年3月に自ら亡くなった財務局職員の人物像などについて、OBの目線から見た「森友問題」を詳細に報じている。