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 9月6日の北海道胆振(いぶり)東部地震で、厚真(あつま)町の町民吹奏楽団は「大黒柱」の指揮者を失った。あれから3カ月。遺志を継ぐ団員らが楽団を再開させ、クリスマスコンサートで、復興に向けた音色を届けようと準備を進めている。

 12月4日夜、町役場近くの練習会場で団員8人が輪になって合奏を始めた。「遅くなってもいい。ゆっくりいきましょう」と仕切るのはトロンボーンの山野下誠さん(47)だ。演奏が合わないと、「あまりこだわらず、慣れたテンポでね」。団員たちから和やかな笑い声が広がった。

 楽団は1986年に結成。20人ほどの小さな楽団は、毎年、まつりやクリスマスコンサートなどで演奏を披露してきた。厚真町では36人が地震の犠牲となり、その1人が、指揮者として楽団を支えてきた松下一彦さん(当時63)だった。

 「さわさわとやってみるかい」。独特の表現で団員を導いた。テューバを吹く下司(しもつかさ)義之さん(58)は「優しくゆるやかに、みんながついてこられるように指揮してくれた」と話す。

 松下さんは、もともとトランペットからドラムまでこなすマルチプレーヤーだった。95年に指揮者になるとジャズや演歌からポップスまで楽団のレパートリーを250曲ほどに増やした。指揮はわかりやすく、専門用語をあまり使わない。その姿に団員たちはついていった。

 地震の2日前まで練習で指揮棒…

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