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【アピタル+】患者を生きる・人工透析(血液濾過透析)

 腎臓の働きが低下した腎不全の患者が受ける人工透析の中で、「血液濾過(ろか)透析(オンラインHDF)」と呼ばれるタイプが最近増えています。どのようなものなのか、日本透析医会の会長を務める秋澤忠男・昭和大学客員教授に聞きました。

血液濾過透析(オンラインHDF)
2012年に保険適用され、16年末時点で全国約6万人が受けている。通常の血液透析は血液と透析液の濃度差を利用して老廃物を、圧力差で余分な水分を除去するが、血液濾過透析はさらに圧力をかけて、通常の透析では難しい老廃物も取り除く。

血液濾過透析(オンラインHDF)とは

――いつごろから増えているのでしょうか

 2012年にオンラインHDFが保険適用されたのがきっかけです。日本透析医学会の資料によれば12年末は約1万4千人でしたが16年に約5万9千人に増えました。この間、透析全体では30万人前後で微増でしたからオンラインHDFの増加が目立ちます。

――どんな特徴がありますか

 オンラインHDFとは血液濾過で使う補充液に、機械で浄化した透析液を用いる方法です。大量に使用して、血液を効率的に浄化できるのが特徴です。オフラインHDFという方法もありますが、16年末で5千人弱と少なめです。こちらはボトルなどに入った補充液を使うので手間がかかり、使用量が限られます。

 

従来の透析との違いは

――それまでの透析とは、どう違うのでしょう

 まず、一般的な血液透析では、水溶液中の物質が自然と濃度が高い方から低い方に移動して均一な濃度になろうとする「拡散」という現象を利用します。実際には血液中の老廃物(毒素)を透析膜を隔てた透析液に移し、除去しています。オンラインHDFは、血液側に人工的に圧力をかけて、拡散では除去しにくい血液中の物質でも力ずくで透析膜を通り抜けさせ、除去する方法です。

 

写真・図版

――メリットはなんでしょうか

 たとえば「β2-ミクログロブリン」という老廃物の一種が効率よく除去できます。この物質は拡散の仕組みだけではよく取り除くことができず、透析を長期間続けて体内にたまってくると、手がしびれたり肩に痛みを感じたりする合併症「透析アミロイドーシス」の原因になると言われている物質です。また、透析中に頭痛や筋肉がつるなど不快な症状が出る「不均衡症候群」もオンラインHDFでは少ないといわれています。

十分な栄養摂取も大切、医師と相談を

――オンラインHDFで注意すべき点はありますか

 血液から大量の老廃物や水分を効率よく除去できるのですが、「アルブミン」という体にとって必要なたんぱく質の1種まで部分的に取り除いてしまうことがあるため、十分な栄養をとったり、オンラインHDFのやり方を工夫したりする対応が必要です。また、オンラインHDFでは大量の透析液の清浄化とその維持にコストがかかり、すべての医療機関で受けられるわけではありません。患者さんにとって必要かどうかについても、医師とよく相談することが重要です。

 

 ◇ご意見・体験は、氏名と連絡先を明記のうえ、iryo-k@asahi.comメールするへお寄せください。

<アピタル:患者を生きる・食べる>

http://www.asahi.com/apital/special/ikiru/(小堀龍之)