離婚経て「物忘れお互い様」の生活 わしのままでいい

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松尾由紀
【動画】認知症を患う竹内裕さん。多世代シェアハウスに暮らし、認知症当事者として積極的に活動している=松尾由紀撮影
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 メールアドレスは「タヌキ腹」をローマ字で。名刺には自身がモデルのタヌキの絵。広島市の竹内裕さん(69)は認知症当事者として積極的に講演し、陽気で前向きな姿が多くの人を元気づけています。そんな竹内さんも、病気がわかった時はショックで自宅にこもったそうです。

認知症とともに 本人の思い:10

認知症の人が自らの言葉で胸のうちを語る「本人の思い」。特集「認知症とともに」の連載で、原則月1回配信しています。

 〈講演会、認知症の人のための相談会。スケジュール帳は真っ黒だ〉

 営業マンだったせいなのか、予定が入っていないと落ち着かない。じっとしていると認知症が進むんじゃないか、と不安もあるね。

 手帳には、食べた物、買った物、会った人も書いています。空白があったら「何しとったんかのぉ~」と、思い出せないことが不安です。

 〈会社勤めをしていた59歳のとき、認知症と診断された〉

 地元の専門商社の専務でした。様子がおかしい、と部下が社長に相談したので受診し、認知症と。前頭側頭型と言われたけど、今はアルツハイマー型、と診断されています。

 認知症と言われて、頭、真っ白になりました。しばらくは引きこもりです。友達じゃろうが親類じゃろうが会いたくない。メールを返さず、電話も出なかった。

 〈転機は半年後。中学高校をともにすごした仲間との同窓会だった〉

 強引に連れ出され、端っこで…

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