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カイシャで生きる 第17話

 安定した日銀マンのキャリアを40代で捨て、ベンチャー企業に転じた男性がいる。

組織の歯車として一日一日を懸命に生きる。ときに理不尽な人事や処遇に苦しんだり、組織との決別、新しい人生を考えたり。様々な境遇や葛藤を経験しつつ前に進もうとする人々の物語を紡ぎます。

     ◇

 「フィンテック?」

 日本銀行に勤めていた神田潤一さん(48)に、金融庁に出向せよという内示があったのは2015年8月のことだ。着任は5日後だった。

 神田さんが東大を卒業して日銀に入ったのは、バブル崩壊から間もない1994年。金融機関に立ち入り、経営実態や財務状況を点検する「考査」の仕事を長く担当した。

 フィンテックといわれても全くの専門外で、ピンとこなかった。フィンテック業界じたいがまだ黎明(れいめい)期で、ニュースになることも少なかった。内示が出て慌ててネットで検索してみたが、やはりよくわからない。金融庁でも前任者はいないということだった。

静まりかえった会場で

 出向から1カ月。「フィンテック協会」という業界団体が設立されることになった。担当する官庁の代表として、設立式でのあいさつを頼まれた。

 都内の会場には企業経営者ら約150人が集まり、ビールを片手に和やかな雰囲気で談笑していた。

 ところが、神田さんが「金融庁」の人だと紹介されたとたん、場内は静まり返ってしまった。この政府の人間は敵か、味方か――。参加者たちのそんな思いを反映したのか、重苦しい空気が会場を覆った。

 〈このままでは良い関係を築けない〉

 そう思った神田さんは、とっさ…

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