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 生い茂った雑木林を通る峠道の先に、くすんだオレンジ色の屋根瓦の集落が現れた。島根県江津市の瀬尻地区。平成18(2006)年を最後に、住民がいなくなった。あるじを失った家の屋根は崩れ、放置された農機具には植物のツルがからみつく。近くを走っていたJR三江線も、この3月に廃線になり、人の気配は、全くなくなった。

 最後まで残っていた住民などによると、かつては十数世帯が稲作や炭作り、アユ漁などで生計を立て、笑い声が絶えない集落だったという。だが、高度経済成長期に、若者たちが職を求めて都会に流れ始めた。残った住民も年老いて、子どもの元に身を寄せ、「限界集落」になっていった。

 島根大学の作野広和教授の調査では、戦後から平成18年までに、県内で82の集落から住民がいなくなった。今後、「消滅」する集落は、さらに増え続ける。(小林一茂)

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