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 横浜市は、医療に関する膨大な情報が蓄積された国のデータベース(NDB)を使い、市内の医療機関で治療を受けたがん患者について分析した結果を公表した。男性は前立腺、女性は乳房の治療を受けていた人が目立ち、患者全体としては約7割が薬物療法を受けていた。市は分析結果を、患者が継続して就業できるような支援など、政策立案に役立てたい考えだ。

 2014年に「がん撲滅対策推進条例」を施行した横浜市は、レセプトデータ(各患者の診療報酬明細)から治療の実態が分析できるのではと考え、全国の市町村に先駆けてNDBの活用を決定。横浜市立大学の医学部や今春開設のデータサイエンス学部の教員らが参加して、17年2月にデータを受け取って分析を始めていた。

 市によると、分析対象としたのは14、15の両年度に市内の医療機関でがん治療を受けた患者。

 両年度のレセプトデータを分析した結果によると、薬物療法(抗がん剤治療など)や手術療法、放射線療法によりがん治療を受けた患者の性別は、男性51・5%、女性48・5%。15~64歳の「働く世代」では女性が男性の倍で、治療法は複数の組み合わせが推察されるが、患者全体では7割近くが抗がん剤の投与などの薬物療法を受けていた。

 治療部位別では男性が前立腺、女性が乳房の割合が高い。働く世代のうち、外来で薬物療法を受ける患者は年間平均で13・8回通院し、労働基準法で定める有給休暇の上限(年間20日)を超えた通院回数の患者も2割近くいた。

 市や市立大によると、従来は新たにがんと診断された患者の数(罹患(りかん)数)や、がんによる死亡者数などのデータはあったが、市内の医療機関で治療中の患者を基にしたデータはなかった。一方で、レセプトデータからは各患者のがんの進行度や体の状態、提供された医療の質についての分析ができず、「限界もあった」としている。

 分析結果を踏まえて市は、薬物療法の患者が多いことから脱毛などの副作用が考えられると想定。患者の精神的苦痛があり得るとして、現在も年間約1200人に行っているアピアランスケア(医療用かつらへの助成など)をより推進させるほか、がん患者が仕事と治療を両立させるために何らかの制度設計が行えないかを検討する方針だ。

 

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http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/岩堀滋