深圳=益満雄一郎
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藤岡淳一社長。工場内では従業員が黙々と製造作業にあたっていた=2018年11月15日、深圳、益満雄一郎撮影
「力を貸していただけないでしょうか」
組織の歯車として一日一日を懸命に生きる。ときに理不尽な人事や処遇に苦しんだり、組織との決別、新しい人生を考えたり。様々な境遇や葛藤を経験しつつ前に進もうとする人々の物語を紡ぎます。
中国南部、広東省深圳。藤岡淳一さん(42)は、祈るような気持ちで中国語の手紙をしたためていた。5年ほど前のことだ。
ファクスの送信先は、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の会長室。会長は大物経営者として知られる郭台銘(テリーゴウ)氏だ。
藤岡さんは2011年、電子機器を受託製造する「創世訊聯科技(ジェネシス)」をたった1人で立ち上げた。資金は、母親から借りたわずか200万円。
かつて香港系ベンチャーで勤務していたときの取引先だった日本の流通大手イオンから、格安のスマートフォンの調達先を決める入札の話が舞い込んだ。受けたくても、イオンが求める数万台規模の大量生産はできない。代わりに製造を請け負ってくれるメーカーを探す必要があった。
友人に相談すると、「小細工はやめて、思い切って大物に頼んだほうがいい」。友人はiPhone(アイフォーン)を受託生産する世界的メーカーである鴻海の会長室のファクス番号を教えてくれた。
手紙では、郭会長と同じ「たた…
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朝日新聞国際報道部