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 「カミソリ」と恐れられた後藤田正晴・元副総理(故人)が官房長官時代の1987年2月、中曽根康弘首相の甘い国会見通しに「狂っている」と強烈に批判していた一幕が、19日に公開された外交文書に記されていた。政権を支える官房長官が、間接的だがトップをなじる場面だった。

 外交文書によると、後藤田氏の発言は、外務省の柳谷謙介事務次官が面会した2月19日に飛び出た。当時、国会開会中で売上税問題をめぐり与野党が激しく対立し、審議は停滞。年度内の本予算成立に暗雲が垂れこめ、暫定予算案の編成が視野に入っていた。

 柳谷氏は、統一地方選が始まる「3月23日」から国会休戦になるため、その前に暫定予算案が成立する、と中曽根氏が見通しを語ったことを披露した。すると、後藤田氏は「(笑いながら)通らせんがな」と一蹴。「狂っている。間違っている」とも言い放ち、突き放した。逆に、国会の具体的な見通しを政局の動きに絡め、「和戦両様だ」「(野党と)戦となると一気に政界激動だ」などと説いてみせた。

 この時は間接的に首相を批判した形だが、歯にきぬ着せぬ物言いはこの先にもあった。同年9月には、ペルシャ湾への掃海艇派遣を言い出した中曽根氏に強く反対した。(菅原雄太)