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 過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討を宣言してから1年を迎えたイラクで、アブドルマハディ首相は10日、「世界は今日、イラクがテロと過激主義を打ち負かすのを目の当たりにしている」と演説し、対IS戦の成果を強調した。ただ、いまだ多くが国内避難民として暮らすなど、IS後の復興は思うように進んでいない。

 イラクでは2014年6月、第2の都市モスルをISの前身組織が制圧し、「国家」の樹立を宣言。一時は国土の3分の1を支配した。イラク軍などは昨年7月にモスルを奪還し、同年12月9日にアバディ前首相が対IS戦の終結を宣言していた。アブドルマハディ首相は、「イラクは国土を、人々は希望と尊厳を取り戻した」と述べ、「国内避難民の帰還と都市の再建が我々のゴールだ」と訴えた。

 一方、ISは9日深夜に系列のメディアを通じ、「不信心者を恐怖に陥らせるため」として、最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者への忠誠を新たにしたと主張した。預言者ムハンマドの後継者を意味する「カリフ」を名乗ったバグダディ容疑者をめぐっては、死亡説や重傷説がたびたび報じられていたが、今年8月に本人の肉声だとする音声がインターネット上に公開されていた。

 イラクでは今年5月に総選挙が行われたが、連立交渉が難航し、同10月にようやく新政権が発足。だが、治安対策を担う国防相や内相などの重要ポストは各政治グループの駆け引きで決まらぬままだ。国際移住機関によると、国内避難民は180万人以上にのぼり、モスルなど戦闘で徹底的に破壊された街の復興も進んでいない。(オスロ=高野裕介)