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 JR山手線の田町―品川間で、2020年春に開業する新しい駅の名前が「高輪ゲートウェイ」に決まった。ネーミングの新奇さなどから、ネット上では是非をめぐって激しい議論が巻き起こった。いい駅名って何なのか。全国の駅名に詳しい鉄道史研究家の星野真太郎さんと考えた。

吹き荒れた批判

 「何故、芝浜にしなかったんだ! みんな文句言っているよ」「あまりにもダサくてセンスがない」

 お笑い芸人のカンニング竹山さんは4日、自身のツイッターで、こうかみついた。JR東日本が新駅名を発表した直後のことだ。

 竹山さんが言及した「芝浜」は、古典落語にも登場する伝統的な地名。JR東が実施した駅名公募では、「高輪」「芝浦」に続いて3番目に人気が高かった。高輪ゲートウェイは、公募では130位。「何のための公募か」という批判が吹き荒れた。

 「全国駅名事典」の著書もある星野さんは、騒ぎに戸惑った。そもそも今回の新駅の開設は、JR東の車両基地跡の再開発と連動している。このプロジェクトは「グローバルゲートウェイ品川」と以前から銘打たれており、「それに合わせた駅名になってもおかしくない」と考えていたためだ。

 新駅の開業自体も、日本全国を見渡せば珍しいことではない。

 四十九(しじゅく、三重)、JR総持寺(そうじじ、大阪)、衣摺加美北(きずりかみきた、同)、高岡やぶなみ(富山)、あしかがフラワーパーク(栃木)、ふかや花園(埼玉)――。朝日新聞の記事データベースをざっと見るだけでも、2018年には、こうした新駅が開業している。

 それでも高輪ゲートウェイは注目された。「山手線ゲーム」という遊びが生まれるほど誰もが知る山手線の久々の新駅であることに加えて、高輪ゲートウェイという個性的なネーミングが、多くの人を驚かせ、刺激したからだろう。

 星野さんによると、いい駅名の基準の一つに、それが「定着」しているかどうかがある。カタカナ交じりでも定着していればいい。「○○センター」などの建物が増え、近接する駅が「○○センター前」などとなる例は、おおむね昭和40年代から広がっているという。

 全国にある読み方が難しい駅名も、地元で理解されていれば大きな問題ではない。

 だから、高輪ゲートウェイという駅名も、「10~20年後に定着しているかどうかで評価すべきだ」というのが基本的な立場だ。

 気になるのは、その長さだという。

 日常生活で気軽に口にすることを考えると、駅名は短い方がいい。「にこたま」という略称が若い世代を中心に親しまれる東京急行電鉄の二子玉川(ふたこたまがわ、東京)や、「名駅(めいえき)」という略称が定着したJR線の名古屋駅のような例もあるが、「いい略称が定着しないと、いつまでも文句を言われる可能性はある」とみる。

増える「複合駅名」

 高輪ゲートウェイに限らず、近年の新駅名の一大トレンドは、二つの単語をくっつける「複合駅名」化だ。

 白金高輪、清澄白河、溜池山王、赤羽岩淵……。比較的新しい東京の地下鉄駅をみると、複合駅名のオンパレードだ。

 星野さんによると、地下鉄は道路の下に線路を敷くことが多いため、複数の地名が駅名候補として要望される現実がある。「一方に決めれば、もう一方の住民が反発しかねない」というわけだ。

 事情は新幹線でも変わらない。「新函館」という仮称が付いていた北海道新幹線の始発・終着駅。近隣の函館市と、立地自治体の北斗市が対立し、結局、駅名は「新函館北斗」に落ち着いた。

 北陸新幹線の「上越妙高」(新潟)なども、名称をめぐって地元の議論は沸騰した。

 複合駅名は地名と地名の「折衷案」であることが多い。評判の芳しくない高輪ゲートウェイだが、高輪という地名とゲートウェイという地名以外の言葉を合成した点は天王洲アイル(東京)などと並んで比較的珍しい、と星野さんはみる。近年増殖する折衷駅名とは一線を画した画期的な名前……、なのかもしれない。

「正解」はその駅次第

 定着していればいい駅名、というのは一つの尺度として分かりやすい。ただ、観点はそれだけではない。

 まず思い当たるのが、東急東横線の学芸大学(東京)と都立大学(同)の例だ。いずれも大学は移転してしまい、駅名だけが残った。

駅名は誰のためのものなのか。旅情のある駅名の変更、難読駅が「行き先」となる問題、そして「高輪ゲートウェイ」に続く「騒動」になるかもしれない、とある鉄道会社の取り組み……。記者が考察を深めます。

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