100年続くスーパー、こうして潰れました 社長の回顧

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谷口哲雄
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元スーパー「やまと」社長 小林久さん(56)

 昨年12月に山梨県内の全9店舗の営業を停止し、甲府地裁に破産を申し立てたスーパー「やまと」の社長を務めていた。

 「100年以上続いた店を自分の代で終わらせてしまった」

 悔恨の思いとともに、「この失敗談が他の人たちの参考になれば」と、倒産のいきさつなどをつづった「こうして店は潰れた 地域土着スーパー『やまと』の教訓」を出版した。

 韮崎市出身。「やまと」は祖父が1912(大正元)年に鮮魚店として創業し、のちスーパーに転じた。その3代目として育ち、大学卒業後は他のスーパーで1年修業をしてから「やまと」に入社した。2001年、39歳で社長に就任し、経営の立て直しに尽力する。08年には県内に16店舗を展開し、年間売上高は約64億円に達した。

 地域密着の取り組みも進めた。移動販売車を導入し、生ゴミ処理機を店舗に置いて堆肥(たいひ)化した。空洞化が進む甲府市の中心部にはミニ店舗を出店。県内では他社に先駆けてレジ袋の有料化にも踏み切った。

 だが、時代の荒波にはあらがえなかった。他社との競争が激しくなり、売り上げは減っていく。昨年の年末商戦を前に、十分な商品確保のめどが立たなくなって閉店を決めた。

 本では、商品の納入が突然止…

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