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 連続6日間、来園者ゼロ――。こんな記録があるほど客が来なくて、一時は閉園間際に追い込まれた茨城県石岡市の動物園「東筑波ユートピア」。最近、にぎわいが戻ってきているらしい。

 約6ヘクタールの広さがある同園は、標高約380メートルの峰寺山を切り開いたところにある。使える公共交通機関はなく、車がないとたどり着くのは難しい。飼育されているのはヤギ、イヌ、ネコ……。トラやキリンといった目を引く動物はいない。8月には腐食したおりからサル3匹が逃げ出すなど、老朽化も進む。入園料は大人(中学生以上)1200円、子ども720円。

 客が来ないのもうなずける。

 ナシ狩りの観光農園をしていた園長の小川高広さん(80)が1975年、千葉・房総半島で農作物の被害防止のために駆除されていたニホンザルを引き取り、飼い始めたのが始まり。サルを放し飼いにし、自然の状態に近いサルの群れに接することができ、人気が出た。当時、平日は遠足の児童で、週末は家族連れで大にぎわい。ナシ園はやめた。小川園長は「もうかって仕方なかった。入りきれないぐらいお客さんが来た」。愛車は1千万円の高級車だった。

 1995年を過ぎた頃から、次第に飽きられ始めた。近年は年500万円の赤字が続く状態に。2年前の冬、6日連続で誰も来なかった。高級車は手放した。小川園長の頭には「閉園」の2文字が浮かんでいた。

 昨冬ごろ、あまりに客が来ないことが奏功。志村けんさんが出演するテレビ番組で「日本一客が来ない動物園」として紹介された。2017年まで1日15人ほどだった客は今年、100~350人ほどに。5月の連休中、多い日は2千人が来園した。

 「テレビを見てきました」。11月下旬、記者が6人ほどの来園者に声をかけると、全員がそう答えた。「昭和の動物園って感じ。でも、動物と距離が近くて子どもが喜びます」

 今がチャンスと、小川園長はサルの代わりにイノシシを野放しで飼う「イノシシ牧場」建設に乗り出し、クラウドファンディングに挑戦。全国の約1万4千人から約5800万円が集まった。来春、イノシシと触れ合える約1ヘクタールの牧場や生態が学べる資料館などが完成する予定。小川園長は「意外と、犬のような親しみやすさがあるんだよ。全国的にも珍しい施設だから人気がでる」と自信をみせる。

 4月に入社した飼育員の井出十夢(とむ)さん(21)も意気込む。「園を再生したくて入社した。ほかにない企画を打ち出して存続させたい」(笹山大志)

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 〈東筑波ユートピア〉 常磐自動車道土浦北インターチェンジ(IC)から車で約30分。年中無休だが、天候状況により閉園することがある。大雨、大雪などの悪天候時は同園(0299・43・6656)へ問い合わせを。